国や地方公共団体の仕事は一緒に見えるけれど何が違うの?
ごちゃ混ぜになってしまって、誰がどんな仕事をするのか分かりにくい。
介護保険で出てくる主な登場人物は
- 国民(被保険者を含む)
- 介護サービス事業者
- 国
- 都道府県
- 市区町村(保険者) です。
ちなみに、ケアマネジャーは「介護サービス事業者」に含まれます。
どの機関がどのような役割を果たすのかを大まかに理解するのがポイントです。
アバウトに理解できればOKです。
介護保険法にそれぞれの役割が規定されていますが、条文を丸暗記する必要はありません。
今回は介護支援専門員試験2022年の問題3を解説します。
受験勉強の一休みに、気楽にお読みください。
問題と解答【2022年-問3】
問題3 介護保険法第5条に規定されている「国及び地方公共団体の責務」として正しいものはどれか。3つ選べ。
- 国は、保健医療サービスおよび福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策を講じなければならない。
- 国及び地方公共団体は、障害者その他の者の福祉に関する施策との有機的な連携を図るように努めなければならない。
- 都道府県は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な助言及び適切な援助をしなければならない。
- 市町村は、要介護者等の医療に要する費用の適正化を図るための施策を実施しなければならない。
- 市町村は、地域において医療及び介護が総合的に確保されるよう指針を定めなければならない。
正答 1・2・3
一つ一つの条文を照らし合わせて暗記する方法もありますが、途中でわけが分からなくなってしまいます。
どの行政機関がどのような立ち位置にいるのかを把握できれば難しくありません。
<広告>
国・都道府県・市町村それぞれの役割
行政機関にはそれぞれ役割があります。
その役割を理解しているかどうかを尋ねているのが本問【2022年-問3】です。
えらい順に整列すると次の通りです。
これを中小企業の会社に例えてみます
気分を悪くされた公務員(特に市町村職員)の方、スミマセン。分かりやすくするために例えました。
国が介護保険の基本的な方針を決定します。会社の理念とも言えます。都道府県を通じて市町村へ指示を出します。
介護保険の理念について興味のある方はこちらの記事をご覧ください。
都道府県は国が定めた方針に沿って現場(市町村)をサポートします。市町村の手が回らない部分をフォローします。いわば中間管理職です。
市町村は保険者として、お客さんである被保険者(つまり、介護保険の利用者)の介護認定区分を決定したり、保険料を集金したり支払ったり、介護サービス事業者を選定(「指定」といいます)したりと様々な仕事が任されます。とにかく忙しく働くサラリーマンのイメージです。
それぞれの役割を理解しておくと、介護保険の財源を考えるうえで参考になります。
介護保険財政について、こちらの記事をご覧ください。
保険給付は国がコントロールしています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
介護保険等関連情報の取り扱いについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
解説
行政機関を中小企業の組織に例えてみました。
そこで再び問題を見てみます。
問題3 介護保険法第5条に規定されている「国及び地方公共団体の責務」として正しいものはどれか。3つ選べ。
- 国は、保健医療サービスおよび福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策を講じなければならない。
- 国及び地方公共団体は、障害者その他の者の福祉に関する施策との有機的な連携を図るように努めなければならない。
- 都道府県は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な助言及び適切な援助をしなければならない。
- 市町村は、要介護者等の医療に要する費用の適正化を図るための施策を実施しなければならない。
- 市町村は、地域において医療及び介護が総合的に確保されるよう指針を定めなければならない。
以下、選択肢を検討します。
1 「施策を講じ」るのは「国」です → 正しい
2 「連携」は国・都道府県・市町村すべてが心掛ける必要があります → 正しい
3 「都道府県」は介護保険事業を運営している「市町村」を「援助」するのが仕事です → 正しい
4 「医療」に要する費用の適正化は介護保険ではなく医療保険(健康保険)の話です → 誤り
5 「指針」を定めるのは「市町村」ではなく、社長である「国」の仕事です → 誤り
1・3を正解として選びます。
4・5は明らかに誤りと判断できれば、残る2を選択することができます。
解説は以上です。
2022年介護支援専門員試験の介護支援分野についてまとめました。
こちらの記事もご覧ください。
<広告>
まとめ
国・都道府県・市町村の各行政機関の役割は、中小企業の組織に例えることができます。
国は指針を策定し、部下である都道府県へ伝達。
都道府県は国の方針に沿って、部下である市町村の動きを指導し援助します。
市町村は社長である国が決めた方針に沿って、介護保険のほとんどの事務を請け負います。
このような上下関係のもと、介護保険は運営されています。
以上、国や地方公共団体の介護保険法上の役割についてお伝えしました。
ケアマネ試験の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。