検査でどんな異常が明らかに?【介護支援専門員試験2023年-問28】

検査でどんな異常が明らかに?【介護支援専門員試験2023年-問28】 介護支援専門員試験

メタボの定義は?お腹回りだけで判断されてしまうの?

ヘモグロビンA1cとかCRPを検査すると何が分かるの?

メタボリックシンドロームとは、肥満を原因とする病気にかかりやすい状態のことです。

腹囲の大きさで診断するイメージがありますが、そうではありません。

血圧・脂質・血糖といった数値も考慮したうえで診断されます。

ケアマネをしていると、検査結果や医師の意見を踏まえて、ご利用者の状態を把握する場面が多くあります。

ケアプランを作成するうえでも重要な情報です。

例えば、ケアマネ試験に出題された検査項目は次の通りです。

検査項目基準値部位
AST(GOT)30U/L以下肝臓・心臓・筋肉
ヘモグロビンA1c5.2%未満血糖  
CRP 0.3㎎/dl以下細胞の炎症
尿検査陰性 膀胱・尿道・尿管・前立腺・腎臓
検査の基準値と部位

検査項目は介護の現場で見聞きすることが多いです。

ケアマネ試験では難しい知識は不要です。

検査をしたらどんな異常が分かるのかを理解しましょう。

見慣れた項目から少しずつ覚えると良いでしょう。

試験勉強につまずいている方、これからケアマネになる方の参考になる内容です。

老健でケアマネをしていた筆者が、ケアマネ試験問題を分かりやすく解説します。

問題と正答【2023年-問28】

検査に関する問題が2023年に出題されました。

どのような問われ方をしているのか、問題のクセを確認しながら解いてみます。

問題28 検査について適切なものはどれか。3つ選べ。

1. 腹囲が男性85㎝以上、女性90㎝以上の場合は、メタボリックシンドロームの診断において腹部型の肥満とされる。

2. AST(GOT)は肝臓以外の臓器の疾患でも上昇する。

3. ヘモグロビンA1cは、採血時の血糖レベルを評価するのに適している。

4. 尿検査は、尿路感染症の診断に有効である。

5. CRP(C反応性たんぱく質)は、体内で炎症が起きているときに低下する。

1・2・4

解法のポイント

1.男性85㎝、女性90㎝という数値が正しいかどうか。

2.ASTで肝臓疾患が分かるけれども、ほかの臓器の診断にも使われるのか?

3.ヘモグロビンA1cで、どの時点の血糖値が分かるのか?

4.尿検査で尿路感染症の診断ができます。

5.CRPは、炎症が起きているときに「低下」するのか?

腹囲だけではメタボリックシンドロームと判断できない

メタボリックシンドローム(以下、「メタボ」)というとお腹回りを気にしてしまいます。

筆者のお腹回りもギリギリオーバーです(泣)

「85㎝」という数値はよく把握しております(笑)

ですが、メタボの診断基準は腹囲だけではありません。

厚生労働省の「e-ヘルスネット」では、メタボを次の通り定義しています。

メタボリックシンドロームとは、内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などになりやすい病態を指します。単に腹囲が大きいだけでは、メタボリックシンドロームにはあてはまりません。

e-ヘルスネット(厚生労働省)より引用
メタボリックシンドローム(メタボ)とは?
メタボリックシンドロームとは、内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などになりやすい病態を指します。単に腹囲が大きいだけでは、メタボリックシンドロームにはあてはまりません。

(外部リンク)

具体的な診断基準を図にすると次の通りです。

<メタボリックシンドロームの診断基準>

出典:e-ヘルスネット(厚生労働省)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-01-003.html (外部リンク)

計算式にすると…

腹囲+(脂質・血圧・血糖のうち2以上の異常)

例えば…

  • 脂質異常症で高血糖、さらに腹囲90㎝はメタボである
  • 高血圧かつ高血糖でも、腹囲70㎝ならばメタボではない
  • 高コレステロールかつ高血圧でも、腹囲80㎝ならばメタボではない

複数の検査結果をもとに診断されるのですね。

中年期にメタボになると、高齢期に認知症を発症する確率が上がります。

認知症について、こちらの記事もご覧ください。

検査の基準値は実務に学ぶ

保健医療サービス分野では、検査項目について出題されることがあります。

一つ一つの検査項目の基準値を覚えるのは大変です。

すでに介護職として働いている方は、実務で習いながら慣れるのが一番です。

試験暗記として取り組むよりも、事例に応じて調べるほうが早く身につきます。

これから介護職として働く方は、検査一覧表を作って携帯すると良いです。

覚えることが多く大変かもしれません。

特に最初は大変ですが、徐々に身についてきます。

本問で出題された検査項目をまとめると次の通りです。

検査項目基準値部位
AST(GOT)30U/L以下肝臓・心臓・筋肉
ヘモグロビンA1c5.2%未満血糖  
CRP 0.3㎎/dl以下細胞の炎症
尿検査陰性 膀胱・尿道・尿管・前立腺・腎臓
検査の基準値と部位

項目によって基準値に解釈のずれがあるので、大まかに押さえておけば大丈夫です。

ケアマネ試験では細かい検査基準値を知らなくても合格できます。

解説

以上を踏まえて問題に戻ります。

それぞれの選択肢に簡単な解説を加えます。

問題28 検査について適切なものはどれか。3つ選べ。

1. 腹囲が男性85㎝以上、女性90㎝以上の場合は、メタボリックシンドロームの診断において腹部型の肥満とされる。

〇 正しい

男性=85㎝以上、女性=90㎝以上です。

※成人の肥満の診断は「腹囲」ではなく、「BMI」を用います。

2. AST(GOT)は肝臓以外の臓器の疾患でも上昇する。

〇 正しい

心臓や筋肉の異常も分かります。例:心筋梗塞

3. ヘモグロビンA1cは、採血時の血糖レベルを評価するのに適している。

× 誤り

ヘモグロビンA1cで「平均的な」血糖値が分かります。

※空腹時と満腹時を比較すると血糖値は大きく変わります。

4. 尿検査は、尿路感染症の診断に有効である。

〇 正しい

膀胱や尿道などの異常が分かります。

5. CRP(C反応性たんぱく質)は、体内で炎症が起きているときに低下する。

× 誤り

体内で炎症が起きているときに、CRPが「上昇」します。

正答 1・2・4

おさらい記事はこちら

以下のリンクから、お好きな記事へアプローチすることができます。

ぜひご活用ください。

まとめ

メタボと検査についてお伝えしました。

メタボは腹囲だけではなく、脂質・血圧・血糖の検査結果も踏まえて診断します。

検査項目は数が多いので、暗記で覚えるのではなく、実務で復習するのが最適です。

この記事がお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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