コロナ後の認定調査は対面実施【介護支援専門員試験2023年-問19】

介護支援専門員試験

認定調査はリモートでも可能ですか?

直接会わないと、どんな状態か把握できないよね。

認定調査は市町村職員が、被保険者と「面接」して調査をすることになっています。(介護保険法27条2項)

かつて新型コロナウイルスが流行したときは特別にオンラインで調査することも認められていました。

しかし、原則として対面で「面接」します。

市町村職員が忙しく面接調査ができないときは、ケアマネ資格を持った「指定市町村事務受託法人」へ委託することができます。

指定市町村事務受託法人とは「事務を適正に実施できると、都道府県知事が認めた法人」のことです。

一般社団法人や社会福祉協議会、株式会社などが運営しています。

この記事を読めば、普段何気なく行われている認定調査のことを、より深く理解することができます。

施設ケアマネをしていた筆者が、認定調査について詳しくお伝えします。

ケアマネの試験勉強の合間で結構ですので、気楽にご覧ください。

問題と正答【2023年-問19】

要介護認定の調査に関する問題です。

問題の直後に正答を載せています。

問題19 要介護認定について正しいものはどれか。2つ選べ。

1. 認定調査は申請者と面接して行わなければならないと、介護保険法に規定されている。

2. 申請者が遠隔地に居住する場合には、認定調査を他の市町村に嘱託することができる。

3. 新規認定の調査は、指定市町村事務受託法人に委託することができない。

4. 一次判定は、認定調査票の基本調査の結果及び特記事項と主治医意見書に基づいて行う。

5. 審査及び判定の基準は、市町村が定める。

1・2

解法のポイント

1.対面で行うことが介護保険法に規定されているのか?

2.遠隔地に居住していれば、やむを得ないとも考えられる。

3.指定市町村事務受託法人とは?「新規」認定の場合は委託できるのか?

4.判定は「一次」と「二次」がある。特記事項と主治医意見書に基づいて判断するのはどちらか?

5.審査・判定の基準は全国一律なのか、市町村によって異なるのか?

認定調査は「対面」が原則

認定調査は介護がどれくらい必要になるかを被保険者に会って直接確認する重要な調査なので、原則として対面で実施します。

介護保険法27条2項に、面接して調査するよう規定しています。

「面接」とは「対面」を意味します。

新型コロナウイルスが流行したとき、施設や病院では面会制限が実施されました。

対面できない事情がある場合は特別にオンライン面接も認められていました。

厚生労働省が発出した通知について、こちらをご覧ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/000732420.pdf (外部リンク)

2019年ごろの状況をよく知る方は、当時の印象が強く、オンライン面接は可能だと思い込みがちです。

市町村によって取り扱いは異なりますが、2023年の5類移行後には対面に戻っています。

認定調査は「対面で」面接するという原則に変わりありません。

法令でもそのように規定されているということを押さえておきましょう。

指定市町村事務受託法人とは何か

認定調査は市町村が行う仕事です。

しかし、多くの事務仕事を抱える市町村職員が、被保険者を一人一人面接するのは大変です。

そこで、指定市町村事務受託法人が市町村から嘱託(委託のこと)を受けて認定調査を実施することができます。

指定市町村事務受託法人とは何でしょうか?

介護保険法24条の2では次の通り規定しています。

指定市町村事務受託法人の要件
  • 法人であること
  • 厚生労働省で定める諸々の要件を満たすこと
  • 事務を適正に実施することができると都道府県知事が認めること
  • 都道府県知事の指定を受けること

社会福祉協議会や株式会社、一般社団法人など法人格はさまざまです。

居宅介護支援事業所のケアマネは調査を受託できないの?

居宅介護支援事業所のケアマネは「更新」に限り、認定調査を受託することができます。

「更新」認定調査を受託できるのは次の事業所です。(法28条5項・施行規則40条5項)

  • 指定居宅介護支援事業所
  • 地域密着型介護老人福祉施設
  • 介護保険施設
  • 地域包括支援センター

上記事業所のケアマネまたは地域包括職員が調査を実施します。

指定市町村事務受託法人は認定調査のほか、保険給付の照会事務も受託することができます。

解説

認定調査の基本的なポイントを押さえたうえで再度問題に当たってみましょう。

問題19 要介護認定について正しいものはどれか。2つ選べ。

1. 認定調査は申請者と面接して行わなければならないと、介護保険法に規定されている。

〇 正しい

法27条2項に規定されています。

2. 申請者が遠隔地に居住する場合には、認定調査を他の市町村に嘱託することができる。

〇 正しい

法27条2項に規定されています。

※家族の自宅で仮住まい、家族の近隣施設で入所などが想定されます。

3. 新規認定の調査は、指定市町村事務受託法人に委託することができない。

× 誤り

「新規」も「更新」も委託することができます。

4. 一次判定は、認定調査票の基本調査の結果及び特記事項と主治医意見書に基づいて行う。

× 誤り

一次判定では、認定調査票の結果を数値化してコンピューターが判定します。

二次判定では、一次判定結果及び特記事項と主治医意見書に基づいて判定します。

5. 審査及び判定の基準は、市町村が定める。

× 誤り

基準は「国」が定めています。

※市町村毎に判断基準が設定されると、基準がバラバラになり不公平です。

正答 1・2

申請の代行者について別の記事にしています。

よろしければ、こちらもご覧ください。

おさらい記事はこちら

以下のリンクから、お好きな記事へアプローチすることができます。

ぜひご活用ください。

まとめ

認定調査は市町村職員が、被保険者と「面接」して調査をすることになっています。(介護保険法27条2項)

市町村職員が忙しく調査ができないときは、ケアマネ資格を持った指定市町村事務受託法人へ委託することができます。

指定市町村事務受託法人とは「事務を適正に実施できると、都道府県知事が認めた法人」のことです。

認定調査事務だけではなく、保険給付の照会事務も受託することがあります。

この記事がお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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