認知症なのに認知症対応型通所介護を利用できない!?【介護支援専門員試験2023年-問56】

認知症なのに認知症対応型通所介護を利用できない!?【介護支援専門員試験2023年-問56】 介護支援専門員試験

認知症対応型通所介護って、認知症専門のデイサービスでしょ?

詳しく教えてほしい!

認知症対応型通所介護とは、認知症の方が施設へ通って、入浴・排泄・食事等の介護を受けるサービスです。

社会的孤立の防止、心身機能維持を目的にしています。

居宅サービス・施設サービス・地域密着型サービスのうち、地域密着型サービスに分類されます。

認知症の方向けのサービスなのですが…

急速に進行する認知症(急速進行性認知症)の場合、命に関わるような病気を併発している恐れがあり利用することはできません

認知症対応型通所介護の中でも、単独型・併設型・共用型という3つの類型に分類されます。

それぞれスタッフ数や設備基準に違いがあります。

この記事を読めば、認知症対応型通所介護の特徴を理解することができます。

あまり馴染みのないサービスと感じるかもしれません。

介護業界で15年勤務した筆者が、分かりやすくお伝えします。

読み物として気軽にご覧ください。

問題と正答【2023年-問56】

問題文と選択肢をさらっと読んで、より確からしいと判断したものを選びましょう。

問題56 介護保険における認知症対応型通所介護について正しいものはどれか。3つ選べ。

1. 共用型指定認知症対応型通所介護の利用定員は、1施設1日当たり12人以下としなければならない。

2. サービスの提供方法等の説明には、利用日の行事及び日課も含まれる。

3. 認知症の原因となる疾患が急性の状態にある者は、対象とならない。

4. 単独型・併設型指定認知症対応型通所介護の場合、生活相談員、看護職員又は介護職員のうち2人以上は、常勤でなければならない。

5. あん摩マッサージ指圧師は、単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所の機能訓練指導員になることができる。

2・3・5

解法のポイント

1.地域密着型サービスなので定員は少なめです。

2.利用するときは、行事や日課を知りたいもの。

3.急性進行性認知症は他の病気を併発していることが多く、治療が必要です。

4.「2人以上」「常勤」が正しいかどうか。

5.機能訓練指導員の要件は幅広く、中には意外な職種も…

人員と運営のルール

認知症対応型通所介護で必要な職種(役職)は次の通りです。

  • 代表者
  • 管理者
  • 生活相談員
  • 看護職員又は介護職員
  • 機能訓練指導員

生活相談員、看護・介護職員のうち、「どちらか1人以上が常勤」です。

生活相談員はサービス提供時間内に1人必要です。

看護・介護職員は定員に関わらず単位ごとに1人必要です。加えて、その日の利用者数に応じて必要なスタッフ数が増えます。

機能訓練指導員は最低1人必要ですが、常時配置する必要はありません。

機能訓練指導員の資格があるのは次の有資格者です。

  • 看護師又は准看護師
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • 柔道整復師
  • 鍼灸師
  • あん摩マッサージ師

リハビリや機能回復に関わる資格を持った人が、機能訓練指導員になることができます。

柔道整復師や鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練指導員とは…意外でした。

利用定員は12人です。

共用型の場合は共用先との兼ね合いで定員が決まります。(次章で後述します)

本章は下記リンクを参考にしました。

平成十八年厚生労働省令第三十四号 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(41条以下)

(外部リンク)

利用者数は増加傾向でしたが、2013年の5万9700人がピークで、その後は緩やかに減少しています。

事業所数も利用者数と同じく減少していることから、十分足りているように見えます。

単独型・併設型・共用型それぞれの違い

問題を解いていて気になったのですが、「共用型」とは何でしょうか?

認知症対応型通所介護には、類型が3種類あります。

  • 単独型…どの施設にも併設していない単独営業型
  • 併設型…特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの施設に併設
  • 共用型…認知症対応型共同生活介護・地域密着型特定施設・地域密着型介護老人福祉施設の食堂と共同生活室を共用

共用型は「設備を共用」するという意味なのですね。

地域密着型サービスは小規模運営のため設備費の割合が高めです。

設備が共用できると経営効率が上がる…だから共用型があるのだと考えればOKです。

単独型・併設型と共用型とでは、利用定員と人員基準が異なります。

利用定員

単独型・併設型認知症対応型通所介護

単位ごとに12人以下

共用型認知症対応型通所介護
  • ユニット型地域密着型介護老人福祉施設との共用する場合……入居者との合計で1ユニット当たり12人以下
  • その他の施設と共用する場合……1日当たり3人以下

人員基準

単独型・併設型認知症対応型通所介護

前章「人員と運営のルール」の通り

共用型認知症対応型通所介護

共用する施設(地域密着型特定施設など)の基準を守れば大丈夫です。

管理者は必要です。

解説

問題56 介護保険における認知症対応型通所介護について正しいものはどれか。3つ選べ。

1. 共用型指定認知症対応型通所介護の利用定員は、1施設1日当たり12人以下としなければならない。

× 誤り

共用する施設によって定員が異なります。前章参照。

2. サービスの提供方法等の説明には、利用日の行事及び日課も含まれる。

〇 正しい

重要事項説明でサービス提供方法について説明しますが、そこに行事や日課といったスケジュールも含まれます。

3. 認知症の原因となる疾患が急性の状態にある者は、対象とならない。

〇 正しい

認知症対応型通所介護は、社会的孤立感の解消や心身機能維持を目的にしています。

急速進行性認知症の場合は、命に関わるような病気を併発している恐れがあるため、利用できません。

4. 単独型・併設型指定認知症対応型通所介護の場合、生活相談員、看護職員又は介護職員のうち2人以上は、常勤でなければならない。

× 誤り

1人以上です。

5. あん摩マッサージ指圧師は、単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所の機能訓練指導員になることができる。

〇 正しい

あん摩マッサージ指圧師は機能訓練指導員の資格があります。

正答 2・3・5

おさらい記事はこちら

以下のリンクから、お好きな記事へアプローチすることができます。

ぜひご活用ください。

まとめ

認知症対応型通所介護についてお伝えしました。

急速に進行する認知症(急速進行性認知症)の場合、命に関わるような病気を併発している恐れがあり、利用することはできません。

認知症対応型通所介護の中でも、単独型・併設型・共用型という3つの類型に分類されます。

それぞれスタッフ数や設備基準に違いがあります。

認知症対応型通所介護は細かいルールが多かったと思います…

完璧に理解しようとすると、次に進めなくなってしまいます。

覚えてもすぐに忘れてしまいます。

「7割理解できれば上等!」という気持ちで次に進みましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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