理解できない「ソーシャルワーク」定義3問【介護支援専門員試験2023年-問47~49】

介護支援専門員試験

ソーシャルワークの意味が分からない…

ケアマネ試験の攻略法を教えて!

社会福祉士になって早14年……恥ずかしながら、まだソーシャルワークの意味を理解していません…

困っている人の相談を受ける仕事だと理解していますが、説明できるほど理解しているとは言えません。

もしも試験問題として出題されたら…もちろん対策があります。

次の通り、キーワードを分類してみました。

  • ソーシャルワークと相性の良い、ポジティブキーワードがあります。(個別化、自己決定、当事者、相互作用、信頼関係、代弁、セルフヘルプ)
  • ソーシャルワークと相性の悪い、ネガティブキーワードもあります。(画一化、共通、リーダーシップ)

これらを区別することで、ソーシャルワークの本質が分からなくても得点することができます。

以上のキーワードが全てではありませんが…

合格してから改めてソーシャルワークの研究を積むのも良いでしょう。

まずはケアマネ試験合格することが先決です!

この記事を読めば、試験で得点できず悩んでいる方にとって、正誤の判断力を培うことができるようになります。

この記事は問題演習としてではなく、読み物としてご覧になることもできます。目次「問題と正答」を飛ばして「解説」だけお読みください。

気楽に始めましょう。

ソーシャルワークの定義は分かりにくい

ソーシャルワークとは何か?

このような質問をされると、まるで答えの出ない質問をされているようです。

ソーシャルワークは日本では馴染みがないのですが、アメリカやイギリスをはじめ、世界ではよく知られています。

各国の法制度によってソーシャルワーカーの位置づけは様々ですが、海外でソーシャルワーカーは「人助け」に関わる仕事であり、リスペクトされる職種であることは共通しています。

国際ソーシャルワーカー連盟は、ソーシャルワークを次のように定義しています。

ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。ソーシャルワークの理論、社会科学、人文学および地域・民族固有の知を基盤として、ソーシャルワークは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々やさまざまな構造に働きかける。この定義は、各国および世界の各地域で展開してもよい。

国際ソーシャルワーカー連盟 グローバル定義

これが、何度読んでも、何度聞いても理解できないのです…

仕事内容なのか?理念なのか?職業の説明なのか?

あらゆる疑問が疑問を呼びます。

深く考えるとキリがありません。

試験対策だと割り切るほかないでしょう。

次章からケアマネ試験で出題された過去問を実際に解いてみます。

今回取り上げるのは3問です。

「問題と正答」を飛ばして「解説」のみご覧いただいても結構です。

ソーシャルワークとは?

問題と正答【2023年-問47】

問題47 ソーシャルワークに関する次の記述のうち、より適切なものはどれか。2つ選べ。

1. 個人の問題解決力や対処能力を強化する役割がある。

2. 支援の終結と事後評価の後のアフターケアが含まれる。

3. ラポールとは、特定領域の専門家から助言・指導を受けることである。

4. アドボカシーとは、クライエントが相談した機関では必要な援助ができないとき、他機関へ紹介することである。

5. 送致とは、自己の権利を表明することが困難なクライエントに代わり、援助者が代理としてその権利獲得を行うことである。

1・2

解説【2023年-問47】

ポジティブキーワードは「個人(個別化)」、「アフターケア」、「信頼関係」、「代弁」です。

1. 個人の問題解決力や対処能力を強化する役割がある。

〇 正しい

個人(クライエント)が自分自身で問題を解決できるようにすることが、ソーシャルワークの役割です。

2. 支援の終結と事後評価の後のアフターケアが含まれる。

〇 正しい

アフターフォローは必要です。

3. ラポールとは、特定領域の専門家から助言・指導を受けることである。

× 誤り

ラポールとは、「信頼関係」のことです。

4. アドボカシーとは、クライエントが相談した機関では必要な援助ができないとき、他機関へ紹介することである。

× 誤り

アドボカシーは、「代弁」(クライエントの代わりに意思を伝えること)です。

5. 送致とは、自己の権利を表明することが困難なクライエントに代わり、援助者が代理としてその権利獲得を行うことである。

× 誤り

送致とは「相談案件を他の公的機関へ移す」ことです。

ここでは、選択肢4が「送致」の説明になります。

ケースワークの7原則

ソーシャルワークの大原則を記したバイブルがあります。

バイスティック著『ケースワークの原則』です。

比較的読みやすく、分量は多くありません。

ぜひ一読されることをオススメします。

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問題と正答【2023年-問48】

問題48 ソーシャルワークにおける相談援助者の基本姿勢として、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1. 統制された情緒的関与とは、個々の人間の状況は独自なものであり、一つとして同じ問題はないと捉え、支援することである。

2. サービスについて様々な情報提供を行い、利用するサービスや事業者をクライエントが決定できるようにする。

3. 非審判的態度で関わる必要がある。

4. クライエントを画一的に分類して、援助計画を立てることが必要である。

5. 意図的な感情表出とは、クライエントが感情を自由に表現できるように、意識してクライエントに接することである。

2・3・5

前述『ケースワークの原則』の7原則を理解すれば正解することができます。

解説【2023年-問48】

ポジティブキーワードは、「統制された情緒的関与」、「個別化」、「クライエントが決定(自己決定)」、「非審判的態度」、「意図的な感情表出」です。

ネガティブキーワードは、「画一的」です。

問題48 ソーシャルワークにおける相談援助者の基本姿勢として、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1. 統制された情緒的関与とは、個々の人間の状況は独自なものであり、一つとして同じ問題はないと捉え、支援することである。

× 誤り

個別化」の説明です。

2. サービスについて様々な情報提供を行い、利用するサービスや事業者をクライエントが決定できるようにする。

〇 正しい

自己決定」です。

3. 非審判的態度で関わる必要がある。

〇 正しい

非審判的態度とは、援助者が「いやっ、それは違うよ」と口をはさみ、クライエントを(全)否定する態度をとらないことです。

4. クライエントを画一的に分類して、援助計画を立てることが必要である。

× 誤り

「画一的」というキーワードは、「個別化」の原則に反しています。

5. 意図的な感情表出とは、クライエントが感情を自由に表現できるように、意識してクライエントに接することである。

〇 正しい

文字通り、意図してクライエントの感情を表現させることです。

本問で出てこなかった、残る2つの原則は次の通りです。

  • 受容…あるがままを受け止める
  • 秘密保持…クライエントの秘密は必ず守る

整理すると、ケースワークの原則は次の7つです。

ケースワークの原則
  • 個別化
  • 意図的な感情表出
  • 統制された情緒的関与
  • 受容
  • 非審判的態度
  • 自己決定
  • 秘密保持

よく出題されるうえ、実務でも役立ちます。

『ケースワークの原則』の内容が穴埋め問題のようにそのまま出題されます。

どの教科書よりも教科書らしい一冊です。

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集団援助(ソーシャルグループワーク)

「集団援助(技術)」というと難しく聞こえますが、文字通りに簡単に解釈します。

クライエント(利用者)が集まって、「当事者同士」で話し合って、「個人」の課題を解決する手法です。

同じ立場の人が集まれば分かり合えることも多いです。

心強い安心感とスムーズな問題解決を図ります。

問題と正答【2023年-問49】

問題49 ソーシャルワークにおける集団援助について、より適切なものはどれか。2つ選べ。

1. グループで生じるメンバーの相互作用を意図的に活用する。

2. プログラム活動は、ソーシャルワーカーの興味や関心事から開始して、そのリーダーシップの下で展開する。

3. メンバーの個別課題と結び付けて支援するよりも、メンバーに共通する課題の解決を優先する。

4. 他のメンバーの行動を観察することは、自分の問題について新たな見方を獲得する機会にはならない。

5. 生きがいを喪失しているような心理的ニーズの高い高齢者に対しては、セルフヘルプグループのミーティングを活用することも効果的である。

1・5

解説【2023年-問49】

ポジティブキーワードは、「(当事者の)相互作用」、「セルフヘルプ」です。

ネガティブキーワードは、「リーダーシップ」、「共通」です。

問題49 ソーシャルワークにおける集団援助について、より適切なものはどれか。2つ選べ。

1. グループで生じるメンバーの相互作用を意図的に活用する。

〇 正しい

当事者同士」で集まるとメリットがあります。

2. プログラム活動は、ソーシャルワーカーの興味や関心事から開始して、そのリーダーシップの下で展開する。

× 誤り

主体はクライエントです。当事者同士で問題解決をします。リーダーシップは不要です。

3. メンバーの個別課題と結び付けて支援するよりも、メンバーに共通する課題の解決を優先する。

× 誤り

集団援助のゴールは、「集団」ではなく「個人」の課題解決です。

4. 他のメンバーの行動を観察することは、自分の問題について新たな見方を獲得する機会にはならない。

× 誤り

集団援助の狙いは、「個人」の課題が解決されることです。

5. 生きがいを喪失しているような心理的ニーズの高い高齢者に対しては、セルフヘルプグループのミーティングを活用することも効果的である。

〇 正しい

集団援助は「当事者同士」という点で、セルフヘルプグループとアプローチが似ています。相性も良いです。

おさらい記事はこちら

以下のリンクから、お好きな記事へアプローチすることができます。

ぜひご活用ください。

まとめ

ソーシャルワークとは何か?というテーマでお伝えしました。

試験対策として、キーワードでヒントをつかみましょう。

  • ソーシャルワークと相性の良いポジティブキーワードがあります。(個別化、自己決定、当事者、相互作用、信頼関係、代弁、セルフヘルプ)
  • ソーシャルワークと相性の悪いネガティブキーワードもあります。(画一化、共通、リーダーシップ)

これらを区別することで、少なくとも資格試験の対策になります。

何となく理解しづらい「ソーシャルワーク」について、ほんの少し理解が進めば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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