「据え置き」は住宅改修とは言わない【介護支援専門員試験2023年-問54】

「据え置き」は住宅改修とは言わない【介護支援専門員試験2023年-問54】 介護支援専門員試験

浴室用すのこは福祉用具?住宅改修?

介護保険が使えるのはどちら?

浴室用すのこは、介護保険の「福祉用具販売」というサービスから給付を受けて購入できます。

住宅改修ではありません。

住宅改修は家屋の構造を変更する場合に利用できるサービスです。

一方、福祉用具販売や福祉用具貸与に住宅工事は不要です。

商品そのものが設置されるだけで、効果を発揮するのが福祉用具です。(ネジ固定など簡単な作業は工事に含みません)

  • 住宅そのものの構造を変化させる場合は住宅改修
  • 設置したものを簡単に取り外しできるものは福祉用具

この記事を読めば、住宅改修と福祉用具販売(貸与)との区別ができるようになります。

介護業界15年の筆者が、ケアマネ試験の過去問解説を通じて分かりやすくお伝えします。

問題と正答【2023年-問54】

住宅改修に関する問題です。

問題の直後に正答、その後解説が続きます。

問題54 介護保険における住宅改修について正しいものはどれか。3つ選べ。

1. 同一の住宅に複数の被保険者が居住する場合においては、住宅改修費の支給限度額の管理は被保険者ごとに行われる。

2. リフト等動力により段差を解消する機器を設置する工事は、住宅改修費の支給対象となる。

3. 洋式便器等への便器の取替えには、既存の便器の位置や向きを変更する場合も含まれる。

4. 浴室内すのこを置くことによる段差の解消は、住宅改修費の支給対象となる。

5. 手すりの取付けのための壁の下地補強は、住宅改修費の支給対象となる。

1・3・5

解法のポイント

1.住宅改修は「1人につき」20万円まで可能です。

2.リフト設置は住宅改修にあたるのか?

3.便器をちょっと移動させるだけでも住宅改修になるのか?

4.すのこは住宅改修か?福祉用具か?

5.付帯工事は住宅改修に含まれるのか?

住宅改修費の要件

住宅改修は介護保険サービスの一つです。

生涯を通じて、一人当たり工事費20万円までが支給対象です。

保険給付費と自己負担額を合わせて上限20万円です。

自己負担額の上限が20万円ではないので注意が必要です。

1割負担の方は18万円・2割負担の方は16万円・3割負担の方は14万円まで給付を受けられます。

あまり大規模な改修は期待できなさそうです。

利用枠が余ったら、次回の改修で使うこともできます。(上限額に達するまで何回でも使用可)

介護認定更新の結果、認定区分が3段階重くなる(例えば、要介護1→要介護4)とリセットされ、再び上限20万円まで住宅改修費が支給されます。

転居した場合も同様です。

介護保険の住宅改修の内容は具体的に決められています。

住宅改修費の対象となる工事内容
  • 手すりの取付け
  • 段差の解消
  • 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
  • 引き戸等への扉の取替え
  • 洋式便器等への便器の取替え
  • その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

それは据え置きか?

住宅改修と福祉用具の区別が難しいことがあります。

そんなとき、例えば次のように区別します。

  • 手すりであれば、壁に固定する場合は住宅改修
  • タッチアップ据え置き型だと福祉用具
  • 掃き出し窓(例えば1階リビングの大きい窓)の外側に設置するスロープは住宅改修
  • 掃き出し窓の外に据え置く、収納式のスロープは福祉用具
  • トイレ便器を和式から洋式へ変更する場合は住宅改修
  • 洋式トイレに補高便座を据え置く場合は福祉用具

まとめると…

  • 住宅そのものの構造を変化させる場合は、住宅改修です。
  • 設置したものを簡単に取り外しできるものは、福祉用具です。

住宅改修は生活が便利になれば、何でも対象になるわけではありません。

前章で述べた6種類に限られています。

6つの事例を覚えるのは大変…

そんなときは、「据え置き」でなければ住宅改修、「据え置き」ならば福祉用具と区別すればスッキリします!

解説

問題54 介護保険における住宅改修について正しいものはどれか。3つ選べ。

1. 同一の住宅に複数の被保険者が居住する場合においては、住宅改修費の支給限度額の管理は被保険者ごとに行われる。

〇 正しい

例えば夫婦2人が同居している場合、どちらの保険で利用するのかを明確にします。

※ 妻のために取り付けた手すりは、夫も使うことができます。

2. リフト等動力により段差を解消する機器を設置する工事は、住宅改修費の支給対象となる。

× 誤り

電動リフトは住宅の改造が不要です。

住宅改修費ではなく福祉用具貸与です。

3. 洋式便器等への便器の取替えには、既存の便器の位置や向きを変更する場合も含まれる。

〇 正しい

洋式便器への取替えは住宅改修の対象です。

4. 浴室内すのこを置くことによる段差の解消は、住宅改修費の支給対象となる。

× 誤り 

すのこは福祉用具販売です。

5. 手すりの取付けのための壁の下地補強は、住宅改修費の支給対象となる。

〇 正しい

手すりの設置をするために必要な工事(付帯工事)は住宅改修費の対象です。

正答 1・3・5

おさらい記事はこちら

以下のリンクから、お好きな記事へアプローチすることができます。

ぜひご活用ください。

まとめ

住宅改修は家屋を改造する場合に利用できるサービスです。

一方、福祉用具販売や福祉用具貸与では住宅の工事は不要です。

商品そのものが設置されるだけで、効果を発揮するのが福祉用具です。(ネジ固定など簡単な作業は工事に含みません)

  • 住宅そのものの構造を変化させる場合は住宅改修
  • 設置したものを簡単に取り外しできるものは福祉用具

据え置きできるか否かで判断するのが、住宅改修を区別するコツです。

解き方のコツさえ分かれば、住宅改修や福祉用具の問題が出ても恐れず回答できますね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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