それは生活援助ではない!~訪問介護業務の線引き~【介護支援専門員試験2023年-問50】

それは生活援助ではない!~訪問介護業務の線引き~【介護支援専門員試験2023年-問50】 介護支援専門員試験

ご利用者からいろいろ頼まれるけれど、どこまでが訪問介護の仕事なの?

訪問介護は居宅で生活するご利用者の身体介護・生活援助を提供するサービスです。

身体介護は文字通り、身体に直接触れて介助する行為です。食事・入浴・排泄・移乗のことです。

生活援助は身体介護に当てはまらず、かつ、家事を援助する行為です。

身体介護や生活援助に当てはまらないサービスは訪問介護ではありません。

ご利用者に頼まれ、良かれと思ってしてあげたことも、介護保険上はサービスと扱われない場合があります。

介護保険のサービスとならない場合の報酬は0円です。

自費負担にする方法もありますが、あらかじめご利用者へ説明する必要があります。

マネジメントするに当たって、ご利用者や訪問介護事業者が困らないよう、サービス内容をご利用者へ適切に説明する必要があります。

この記事を読めば、「身体介護」と「生活援助」を大まかに区別できるようになります。

介護業界で15年間勤務した筆者が分かりやすくお伝えします。

問題と正答【2023年-問50】

訪問介護に関する問題では、身体介護と生活援助の区別が問われます。

問題を解いた後、答え合わせをしてみましょう。

最初は正解できなくても構いません。

問題50 介護保険における訪問介護について正しいものはどれか。3つ選べ。

1. 掃除の際に特別な手間をかけて行う床のワックスがけは、生活援助として算定できる。

2. 手助けや声かけ及び見守りしながら、利用者と一緒に行うシーツ交換は、身体介護として算定できる。

3. 夏服と冬服を入れ替えるなどの衣類の整理は、生活援助として算定できる。

4. 訪問介護員が車いす等での移動介助を行って店に行き、利用者本人が自ら品物を選べるようにする援助は、身体介護として算定できる。

5. 安否確認を主たる目的とする訪問は、生活援助として算定できる。

2・3・4

解法のポイント

1.「特別な手間」がキーワード

2.「利用者と一緒に行う」シーツ交換は身体介護か?生活援助か?

3.「利用者が行わない」衣替えは生活援助か?身体介護か?

4.「移動介助」+「利用者が品物を選ぶ」は身体介護か?生活援助か?

5.安否確認を「主たる目的とする」訪問介護は生活援助か?自費負担か?

要支援1・2の方が訪問介護を利用する場合、介護保険ではなく、市町村が実施する総合事業から給付を受けます。

身体介護や生活介護の基本的考え方は、要介護1~5の方が受ける介護給付と同じです。

訪問介護には「身体介護」と「生活援助」がある

訪問介護とは、訪問介護員がご利用者の自宅を訪問して、日常生活の世話を行うサービスです。

訪問介護の仕事内容は「身体介護」と「生活援助」の2種類に分類されます。

  • 身体介護…移乗介助や入浴介助、食事介助など、身体に直接触れて介助する、介護らしい介護のこと。
  • 生活援助…身体介助を除く、日常生活を送るために必要な家事行為。例えば、掃除、洗濯、調理、買い物など。

どちらも介護保険を使って利用できますが、ケアマネ実務ではここで注意が必要です。

特に生活援助は、具体的な仕事内容によって介護保険対象外になる場合があります。

介護保険対象と、介護保険対象外を分類しました。

下記は一例です。

保険対象…家事を行う同居ご家族がいない、同居ご家族に障害がある、居室の掃除、通院付き添い、薬の受け取り、ゴミ出し

保険対象外…家事をすることができるご家族が同居している、ご利用者が使わない部屋の掃除、庭の草むしりや枝木の伐採、金銭管理

分類に困ったら、介護保険法の理念に立ち返りましょう。

介護保険の目的は被保険者の自立を支援することです。

こちらの記事もご覧ください。

生活援助

家事を援助するのが「生活援助」です。

食事を作って提供するのは訪問介護のサービスですが、配食サービスは訪問介護ではありません。

配食サービスは介護保険対象外で自費負担です。

日常生活の支援は訪問介護サービスですが、旅行時の移動支援は訪問介護を利用できません。自費負担になります。

訪問介護は訪問時にヘルパーが見守りしますが、常時見守りをするサービスではありません。

見守りが必要な場合、介護保険サービスの「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」を利用することができます。

あるいは、自費になりますが、民間の見守りサービスを利用すると安心です。

簡単なものであれば、自費でも安く利用できます。

訪問介護でフォローできないニーズは、介護保険外(自費負担)で満たすことも考えられます。

地方自治体によって、補助金が支給される場合があります。

詳しい内容は自治体のホームページに掲載されていることが多いです。

解説

訪問介護の問題を解く際は、次の3つに分類されます。

  • 身体介護
  • 生活援助
  • 自費負担(介護保険対象外)

これらのうち、どれが当てはまるかを考えます。

問題50 介護保険における訪問介護について正しいものはどれか。3つ選べ。

1. 掃除の際に特別な手間をかけて行う床のワックスがけは、生活援助として算定できる。

× 誤り

「特別な」手間をかける家事は、すべて自費負担です。

2.  手助けや声かけ及び見守りしながら、利用者と一緒に行うシーツ交換は、身体介護として算定できる。

〇 正しい

利用者と一緒に行うので、身体介護になります。

3. 夏服と冬服を入れ替えるなどの衣類の整理は、生活援助として算定できる。

〇 正しい

「衣替え」は最低限必要な家事なので生活援助です。

4. 訪問介護員が車いす等での移動介助を行って店に行き、利用者本人が自ら品物を選べるようにする援助は、身体介護として算定できる。

〇 正しい

移動介助は身体介護です。

利用者自ら品物を選んでいるのでGOODです。自立支援の理念にかなっています。

5. 安否確認を主たる目的とする訪問は、生活援助として算定できる。

× 誤り

安否確認を「主たる目的」とするのは身体介護でも、生活援助でもありません。

定期巡回・随時対応訪問介護看護を利用して見守りすることができます。

正答 2・3・4

いかがでしたか?

生活援助の線引きは難しいケースもあるため、事例全てをマスターすることは諦めます。

試験に出題された範囲をできるようにしておけば大丈夫です。

おさらい記事はこちら

以下のリンクから、お好きな記事へアプローチすることができます。

ぜひご活用ください。

まとめ

訪問介護の「身体介護」と「生活援助」の区別についてお伝えしました。

  • 身体介護…移乗介助や入浴介助、食事介助など、身体に直接触れて介助する、介護らしい介護のこと。
  • 生活援助…身体介助を除く、日常生活を送るために必要な家事行為。例えば、掃除、洗濯、調理、買い物など。

身体介護・生活援助・自費負担のどれに当てはまるのかを考えながら、問題を丁寧に読んで回答します。

ケアマネ試験対策として、さらに、実務でもお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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