生活保護に詳しいケアマネは最強!【介護支援専門員試験2023年-問60】

生活保護に詳しいケアマネは最強!【介護支援専門員試験2023年-問60】 介護支援専門員試験

ケアマネが生活保護に詳しいと、どんな得があるの?

生活保護のことを全く知らないから教えてほしい!

ケアマネジャーは高齢者のケアプラン作成をする、介護保険の専門家です。

年金だけでは生活ができないご利用者のサポートを引き受けることも多々あります。

もしも、ご利用者が貧困に苦しめられたとき、ケアマネジャーが適切な機関へ相談できるよう支援します。

貧困を防止するため制度を活用していくことが求められます。

ケアマネジャーはご利用者を行政機関へつなぐ役割があります。

生活保護の決定は行政機関の仕事です。

生活保護は次のような特徴があります。

  • 基準及び程度の原則
  • 必要即応の原則
  • 世帯単位の原則
  • 申請保護の原則

生活保護の基本的な知識を知っていれば、実務で役に立つこと間違いなしです!

この記事を読めば、生活保護制度の特徴を理解することができます。

過去問解説でありますが、読み物として気楽にご覧ください。

社会福祉士として相談業務に携わった筆者が、分かりやすくお伝えします。

問題と正答【2023年-問60】

生活保護に関する問題を解いてみます。

問題の直後に正答を記載しています。

次章から詳しく解説します。

問題60 生活保護制度について正しいものはどれか。3つ選べ。

1. 保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等を考慮して行うものとする。

2. 実施機関は、都道府県知事、市長及び福祉事務所を管理する町村長である。

3. 生活保護費は、最低生活費に被保護者の収入額を加算して支給される。

4. 福祉用具の利用は、生活扶助の対象である。

5. 生活保護の申請は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族が行うことができる。

1・2・5

解法のポイント

1.性別をも考慮するのか?

2.都道府県知事が実施することもあるのか?

3.被保護者の収入額をも加算する必要があるのか?

4.福祉用具は生活扶助?それとも介護扶助?

5.扶養義務者のみならず、同居の親族も生活保護申請を行うことができるのか?

生活保護の実施機関と基準

生活保護を受けたい場合、どこで受け付けてもらえるのでしょうか?

正解は行政機関である「市町村」です。

人口の少ない市町村では「都道府県」が担っています。

保護を決定するのは、市長村長や都道府県知事ですが、実際には福祉事務所がほとんどの事務を行っています。

行政機関が保護を決定するということは、生活保護費は税金から支払われます。

生活保護費を支給する一定の基準があります。

あくまでも生活保護費は、不足分を補う程度に支給されます。

生活保護法8条2項では、次のように規定されています。

…基準は、要保護者の年齢別性別世帯構成別所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、かつ、これをこえないものでなければならない。

生活保護法8条2項

不足分を補うため最低ラインの基準を設定することを、基準及び程度の原則と言います。

生活保護法9条に、上記8条2項と似たような規定があります。

保護は、要保護者の年齢別性別健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効かつ適切に行うものとする。

生活保護法9条

必要最低限の生活を維持するため、要保護者世帯の状況に応じて支給することを、必要即応の原則と言います。

ふむふむ……性別を考慮すると男女差別になるかと思ったのですが、保護の必要性を判断する上で性別をも考慮すべきだという考え方なのですね。

原則として、保護費は個人単位ではなく世帯単位で支給されます。

これを世帯単位の原則と言います。

例外として、個人に対して支給されることもあります。(めったにありませんが。)

また、生活保護法7条では、申請できるものを次のように定めています。

保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始するものとする。但し、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる。

生活保護法7条

申請に基づいて保護費を支給することを、申請保護の原則と言います。

原則として、「保護してください」と申請しなければ、保護されません。

例外として、市町村長などが職権で保護決定することもあるので注意しましょう。

生活保護制度の4原則が出そろったところで、まとめると次の通りです。

生活保護制度の4原則
  • 基準及び程度の原則
  • 必要即応の原則
  • 世帯単位の原則
  • 申請保護の原則

4つにまとめられていると「暗記しなければ!」と考えるのが受験生の本能なのですが、

重要なのはこれら原則の中身です。

生活保護制度の特徴ともいえます。

ぜひ、原則の中身を理解しましょう。

扶助の種類

生活保護費は次の8種類の扶助に分類されます。

扶助の種類
  1. 生活扶助
  2. 教育扶助
  3. 住宅扶助
  4. 医療扶助
  5. 介護扶助
  6. 出産扶助
  7. 生業扶助
  8. 葬祭扶助

具体的事例を挙げて、「どの扶助から支給されるのか?」という問題が出題されます。

非常にややこしいのです…

文字通り(生活扶助は生活費、介護扶助は介護費)に解釈すればよいのですが、実務上の解釈はそう簡単なものばかりではありません。

しかもこれが、きれいに四字熟語のようにそろっているではないですか!!(笑)

結論、ケアマネ試験ではシンプルに考えて、分かる範囲で回答しましょう。

解説

改めて2023年試験の最後を飾る、問題60を解いて締めくくりたいと思います。

問題60 生活保護制度について正しいものはどれか。3つ選べ。

1. 保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等を考慮して行うものとする。

〇 正しい

要保護者の状況に応じて、不足分を補います。「必要即応の原則」です。

2. 実施機関は、都道府県知事、市長及び福祉事務所を管理する町村長である。

〇 正しい

市町村長や都道府県知事が保護を決定します。

3. 生活保護費は、最低生活費に被保護者の収入額を加算して支給される。

× 誤り

被保護者(要保護者)の収入額は加算されません。「必要即応の原則」です。

4. 福祉用具の利用は、生活扶助の対象である。

× 誤り

福祉用具は「介護扶助」の対象です。

5. 生活保護の申請は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族が行うことができる。

〇 正しい

要保護者本人だけではなく、扶養義務者や同居の親族も申請することができます。

※生活保護は世帯単位で支給されます。同居の親族が申請するのは自然なことです。

正答 1・2・5

おさらい記事はこちら

以下のリンクから、お好きな記事へアプローチすることができます。

ぜひご活用ください。

まとめ

ケアマネジャーは高齢者のケアプラン作成をする、介護保険の専門家です。

年金だけでは生活ができないご利用者のサポートを引き受けることも多々あります。

もしも、ご利用者が貧困に苦しめられた場合、ケアマネジャーが適切な機関へつなぎます。

生活保護の支給決定は行政機関の仕事です。

生活保護は次のような特徴があります。

  • 基準及び程度の原則
  • 必要即応の原則
  • 世帯単位の原則
  • 申請保護の原則

大切なことは原則の名称ではなく、中身です。

生活保護制度の基本的事項を理解すれば、いつの日か実務でも役立つときが来るでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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