介護保険財政の仕組みは明確です【介護支援専門員試験2022年-問9】

役割は明確!介護保険財政【2022-9】 介護支援専門員試験

介護保険は「保険」なんだから、みんなが支払っている保険料を使っているんでしょ?

1割負担の人もいれば、2割・3割負担の人もいるよね。

ケアマネ試験では毎年のように介護保険財政に関する出題があります。

介護保険の財源は保険料だけでは足りません。税金も使われています。

保険料と税金の割合はそれぞれ50%です。

試験を攻略するにはさらに踏み込んだ知識が必要です。

保険料では第1号被保険者と第2号被保険者がそれぞれ負担します。

税金では国・都道府県・市町村がそれぞれ負担しています。

地域ごとに保険料の収入にばらつきがあるため、調整交付金によって割合を調整します。

また、1割から3割というのはサービスを利用したときの「自己負担額」の割合です。財源とは異なる論点なので区別しましょう。

介護保険財政を理解するには、介護保険制度全体の仕組みと負担割合を学習する必要があります。。

この記事を読めば、ケアマネ試験で貴重な1点を難なく得点することができます。

本試験を一発合格し、老健でケアマネジャーをしていた筆者が分かりやすく解説します。

問題と解答【2022年-問9】

介護保険財政の問題は頻出です。

選択肢の中には聞きなれない用語が出ます。

しかし、よく出題されるのは「誰が」「どれくらい」負担しているかです。

少なくとも、介護保険の登場人物(人だけではありませんが…)と負担割合を正確に理解しましょう。

数字を覚えるのは面倒ですが、比率(何パーセント)で押さえておきましょう。

問題9 介護保険財政について正しいものはどれか。3つ選べ。

  1. 国は、介護給付及び予防給付に要する費用の30%を負担する。
  2. 国は、介護保険の財政の調整を行うため、市町村に対して調整交付金を交付する。
  3. 都道府県は、介護保険事業に要する費用に充てるため、保険料を徴収しなければならない。
  4. 地域支援事業支援交付金は、社会保険診療報酬支払基金が医療保険者から徴収する納付金をもって充てる。
  5. 第1号被保険者の保険料の賦課期日は当該年度の初日である。

正答 2・4・5

筆者は問題9を読んで、次のように印象を持ちました。

選択肢1 国は30%を負担する…で正しい??

選択肢2 たしか「調整交付金」という言葉をどこかで聞いたなぁ。

選択肢3 「都道府県が」徴収する?

選択肢4 「地域支援事業支援交付金」とは何だ??社会保険診療報酬支払基金とは何をするところだ?

選択肢5 保険料の金額は4月1日に決まる??

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完璧に理解しなくても大丈夫です。

あたりをつけて、消去法で解きましょう。

介護保険は保険料50%・税金50%で成り立っている

介護保険の財源はどのようになっているのでしょうか?

次の図をご覧ください。(外部リンク)

介護保険制度の仕組み|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

厚生労働省「介護保険制度の仕組み」(https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/zaisei/sikumi_02.html)

「介護保険制度の仕組み」図を使って説明します。

右上(青色の枠内)がサービスを提供する事業者です。

下(黄色の枠内)がサービスを利用する被保険者です。

左上(水色の枠内)が今回取り上げるテーマである介護保険の財源構成です。

左上(水色の枠内)部分にご注目ください。

・税金50%、保険料50%で構成されています。

・国が全体の25%(4分の1)、都道府県12.5%(8分の1)、市町村12.5%(8分の1)を負担しています。

・保険料50%は第1号被保険者と第2号被保険者が負担しています。

サービスを利用する被保険者は、当然ながら、それぞれが保険料を出し合って制度を維持していく責任があります。(「国民の共同連帯の理念」と言います。)

国は介護保険法の理念に則って介護保険制度で最も責任のある立場ですから、税金拠出の中で最も多い割合(25%)です。

施設サービスにおいては都道府県の負担割合が増えますが(国20%・都道府県17.5%)、国が最も多く負担していることに間違いありません。

介護保険制度では被保険者・国・都道府県・市町村がそれぞれ役割を担っています。

重要人物であるほど負担割合が大きいです。

介護保険法の理念に関する出題について興味のある方はこちらの記事もご覧ください。

国や都道府県、市町村の役割について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

保険給付について、こちらの記事もご覧ください。

一方、保険料の内訳ですが、

第1号被保険者は21%、第2号被保険者は29%を負担しています。

しかし、各市町村の人口の変化に合わせてこの割合は変動します。

現代は介護保険利用者である第1号被保険者(65歳以上)が増えて、現役の働き手である第2号被保険者(40歳以上65歳未満)が減るという少子高齢化現象が起こっています。

・第1号被保険者の割合が増加↑

・第2号被保険者の割合が低下↓

この傾向をつかんでおけば具体的な数字(21%・29%)を覚える必要はありません。

図は平成に作られたものなので古いデータです…

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1~3割とは自己負担割合のこと

サービスを利用するときは1割から3割とされている「自己負担額」を支払います。

「財源」の話とは異なるので区別しましょう。

前出「介護保険制度の仕組み」図で、下から右上に向かっている矢印が自己負担額です。

サービス利用時に利用者が事業者へ支払います。介護保険スタート当初はすべての被保険者が1割負担だったのですが、2割負担の導入、3割負担の導入に至り、現在は被保険者の所得に応じてこれら3種類の負担割合が設定されています。

まだ少数ですが、いずれ多くの人が3割の自己負担額を支払うことになりそうです。

まるで健康保険のようです…

他の制度との給付調整が行われることもあります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

解説

問題9の各選択肢を解説します。

問題9 介護保険財政について正しいものはどれか。3つ選べ。

1.国は、介護給付及び予防給付に要する費用の30%を負担する。

  • 国は25%(全体の4分の1に相当)を負担します。  →誤り
    • ※施設等給付に限ると20%(5分の1相当)負担です。

2.国は、介護保険の財政の調整を行うため、市町村に対して調整交付金を交付する。

  • 各市町村に住んでいる高齢者の数や労働者の収入によって保険料収入にばらつきがあります。
  • 調整交付金とは国が収入の少ない市町村の負担を減らすために交付金として支給するものです。  →正しい

3.都道府県は、介護保険事業に要する費用に充てるため、保険料を徴収しなければならない。

  • 第1号被保険者……市町村
  • 第2号被保険者……医療保険加入者は医療保険者(協会けんぽ・健保組合)が、国民健康保険加入者は市町村が徴収します
  • 都道府県は保険料を徴収しません。  →誤り

4.地域支援事業支援交付金は、社会保険診療報酬支払基金が医療保険者から徴収する納付金をもって充てる。

  • 被保険者が要介護状態になることを予防するために、市町村が地域支援事業を行います。
  • その事業を支援するため、保険料を預かっている社会保険診療報酬支払基金から市町村に対して交付金を支払います。  →正しい

5.第1号被保険者の保険料の賦課期日は当該年度の初日である。

  • 市町村は毎年4月1日時点の被保険者や世帯の状況によって保険料を決定します。     →正しい

正答 2・4・5

「4」と「5」は正誤の判断が難しかったのではないでしょうか?

自信をもって「1」「3」が誤りと判断できれば正解できるでしょう。

解説は以上です。

2022年介護支援専門員試験の介護支援分野についてまとめました。

こちらの記事もご覧ください。

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まとめ

介護保険は保険料だけではなく税金も使われています。

試験を攻略するうえで、「誰が」「どれくらい」負担しているかを理解しましょう。

被保険者はサービスを利用する立場であるので50%、

国は25%、都道府県は12.5%、市町村は12.5%を負担します。

責任の度合いに応じて負担割合も大きくなります。

以上、介護保険財政について解説しました。

参考になれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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