介護保険等関連情報って何?条文は主語が大事【介護支援専門員試験2023年-問10】

介護保険等関連情報って何?条文は主語が大事【介護支援専門員試験2023年-問10】 介護支援専門員試験

「介護保険等関連情報」って何ですか?

介護保険等関連情報とは介護保険法118条の2に定義されています。

要約すると次の通りです。

介護保険法118条の2 1項(要約)

厚生労働大臣は、市町村介護保険事業計画及び都道府県介護保険事業支援計画の作成、実施及び評価…(中略)…に資するため、次に掲げる事項に関する情報(以下、介護保険等関連情報)の結果を公表する。(1号と2号は「義務」、3号と4号は「努力義務」)

1号 介護給付に要する費用に関する地域別、年齢別又は要介護(要支援)認定別の状況

2号 被保険者の要介護(要支援)認定における調査に関する状況

3号 訪問介護、訪問入浴介護その他のサービスを利用する要介護者等の心身の状況等、当該サービスの内容

4号 地域支援事業の実施の状況

つまり、利用者に関するあらゆる情報のことです。

この記事を読めば、介護保険等関連情報という聞きなれない言葉について理解することができます。

加えてケアマネ試験のクセを知ることができます。

老健で運営管理をしていた筆者が試験問題を解説します。

問題と解説【2023年-問10】

情報の調査分析に関する問題です。

これまで出題されなかった範囲です。

解き方のポイントを押さえたいと思います。

問題10 介護保険法に規定する介護保険等関連情報の調査及び分析について正しいものはどれか。3つ選べ。

1. 市町村は、介護保険等関連情報を分析した上で、その分析の結果を勘案して、市町村介護保険事業計画を作成するよう努めるものとする。

2. 都道府県は、都道府県介護保険事業支援計画を作成するに当たって、介護保険等関連情報を分析する必要はない。

3. 都道府県は、介護サービス事業者に対し、介護給付等に要する費用の額に関する地域別、年齢別又は要介護認定及び要支援認定別の状況に関する情報を提供しなければならない。

4. 厚生労働大臣は、被保険者の要介護認定及び要支援認定における調査に関する状況について調査及び分析を行い、その結果を公表するものとする。

5. 厚生労働大臣は、特定介護予防・日常生活支援総合事業を行う者に対し、介護保険等関連情報を提供するよう求めることができる。

1・4・5

解法のポイント

1. 市町村が介護保険事業計画を作成するときに介護保険等関連情報を参考にする必要があるのか(選択肢2と矛盾している)?

2. 都道府県が介護保険事業支援計画を作成するときに、介護保険等関連情報を参考にする必要があるのか(選択肢1と矛盾している)?

3. 費用に関する情報を提供「しなければならない」義務があるのか?その情報は「都道府県」が「介護サービス事業者」へ提供するものなのか?

4. 調査及び分析を行うのは「厚生労働大臣(国)」の仕事なのか?

5. 特定介護予防・日常生活支援総合事業に情報提供の規定が存在するのか?「厚生労働大臣(国)」が行う仕事なのか?

選択肢1または2のどちらかが誤りであると推測します。

そもそも参考にしなくてもよい情報であれば収集する必要はないので、選択肢1を選ぶことができます。

残る誤り1つを選択肢3・4・5の中から見つけ、正答を導き出します。

介護保険等関連情報とは利用者情報のこと

介護保険等関連情報とは聞きなれない用語です。

試験にも出題されてこなかったので、ここで整理します。

介護保険等関連情報は介護保険法118条の2に規定されています。

原文はインターネットや福祉六法などでご確認ください。

分かりやすくするために、筆者が条文を要約してみました。

介護保険法118条の2 1項(要約)

厚生労働大臣は、市町村介護保険事業計画及び都道府県介護保険事業支援計画の作成、実施及び評価…(中略)…に資するため、次に掲げる事項に関する情報(以下、介護保険等関連情報)の結果を公表する。(1号と2号は「義務」、3号と4号は「努力義務」)

1号 介護給付に要する費用に関する地域別、年齢別又は要介護(要支援)認定別の状況

2号 被保険者の要介護(要支援)認定における調査に関する状況

3号 訪問介護、訪問入浴介護その他のサービスを利用する要介護者等の心身の状況等、当該サービスの内容

4号 地域支援事業の実施の状況

平たく言えば、「利用者に関する情報全般」のことでした。

この記事は「介護保険等関連情報」とは何かというテーマでしたが、あまり面白くない結果でした…スミマセン…

ここからは問題のパターンについて補足します。

主語は「厚生労働大臣は…」です。

「市町村」や「都道府県」ではありません。

本問では、「誰が」「誰に対して」の部分が重要です。

また、1号から4号に規定している介護保険等関連情報の内容を大まかにイメージできれば、正解率が上がります。

  • 1号と2号は公表しなければなりません。
  • 3号と4号は公表するよう「努め」なければなりません。

118条の2について、「義務」と「努力義務」の違いまで知っている受験生は多くないと思います。

知らなくても大丈夫です。

国や地方公共団体の役割について、こちらの記事が参考になります。

解説

見慣れなくて難しい問題ですが、もう一度復習してみましょう。

問題10 介護保険法に規定する介護保険等関連情報の調査及び分析について正しいものはどれか。3つ選べ。

1. 市町村は、介護保険等関連情報を分析した上で、その分析の結果を勘案して、市町村介護保険事業計画を作成するよう努めるものとする。

〇 正しい

市町村が介護保険事業計画を作成します。努力義務です。

介護保険等関連情報の分析結果を参考にしたほうが、実情に合った計画を作成することができます。

2. 都道府県は、都道府県介護保険事業支援計画を作成するに当たって、介護保険等関連情報を分析する必要はない。

× 誤り

都道府県介護保険事業支援計画の作成に当たって、厚生労働大臣が公表した介護保険等関連情報をもとに計画を作成する必要があるので、市町村だけではなく、都道府県も独自に分析しなければなりません。

※ 介護保険事業(支援)計画作成の参考にするために、介護保険等関連情報があります。

3. 都道府県は、介護サービス事業者に対し、介護給付等に要する費用の額に関する地域別、年齢別又は要介護認定及び要支援認定別の状況に関する情報を提供しなければならない。

× 誤り

地域別、年齢別、介護度別の費用に関する情報を把握しているのは、保険者である「市町村」です。

「市町村」が「厚生労働大臣(国)」へ情報提供しなければなりません(義務)。(介護保険法118条の2 2項)

全国から集められた情報を「厚生労働大臣(国)」が公表します。(法118条の2 1項1号) 

※現場レベルに近い機関が、多くの情報を把握しています。

4. 厚生労働大臣は、被保険者の要介護認定及び要支援認定における調査に関する状況について調査及び分析を行い、その結果を公表するものとする。

〇 正しい

法118条の2 1項2号

5. 厚生労働大臣は、特定介護予防・日常生活支援総合事業を行う者に対し、介護保険等関連情報を提供するよう求めることができる。

〇 正しい

厚生労働大臣(国)は必要な情報と判断すれば、あらゆる機関から情報収集する権限があります。(法118条の2 3項)

正答 1・4・5

おさらい記事はこちら

以下のリンクから、お好きな記事へアプローチすることができます。

ぜひご活用ください。

まとめ

介護保険等関連情報について記事にしました。

「介護保険等関連情報」と言っても特別なものではなく、実際には「認定」「費用」「サービス内容」など利用者に関する情報全般のことでした。

あまりピンと来ないかもしれません。

試験対策としては、「誰が」「誰に対して」求めているのかを区別しておく必要があります。

本問では問われませんでしたが、「義務」「努力義務」の区別もよく出題されます。

出題パターンに慣れておけば試験当日も緊張せずに回答できるでしょう。

この記事がお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました