お年寄りは真夏にエアコンつけないと聞きます。
暑さを感じにくいのでは?
脱水って気付きにくいよね。
高齢者は暑さ寒さに対する感覚が鈍くなります。
体内の水分吸収量も減ります。
介護者の視点からは、気を付けて観察しないと脱水の状態に気付かないこともあります。
この記事を読めば、高齢者の脱水症状について学習できます。
2023年に出題された試験問題を解説します。
介護福祉士試験合格を目指している方に読んでいただきたいです。
実務でも参考になるのでぜひご覧ください。
介護福祉士試験に合格し、老健の介護職員として勤務した筆者が分かりやすくお伝えします。
問題と正答【2023年-問38】
高齢者の脱水に関する問題です。
問題のすぐ後に正答を記載しています。
問題 38 高齢者の脱水に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 若年者よりも口渇感を感じやすい。
- 体内水分量は若年者よりも多い。
- 起立時に血圧が上がりやすくなる。
- 下痢が原因となることはまれである。
- 体重が減ることがある。
正答 5
のどが渇きやすいか、渇きにくいか?
体内水分量は若年者よりも多いか、少ないか?
血圧は上がりやすいか、下がりやすいか?
下痢を起こしやすいか、起こしにくいか?
体重が減りやすいか、増えやすいか?
選択肢をよく読んで、明らかに誤りと判断したものから消去していきましょう。
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介護者にとって高齢者の脱水は気付きにくい
高齢者の脱水についてどんなことに気を付ければよいのでしょうか?
主な高齢者の特徴を記載します。
- 加齢に伴い体内水分量は体重の60%から50%へ。10%も減少する。
- のどの渇き(口渇感)を感じにくい。
- 夏の暑さを感じる温度センサーが鈍くなる。
- 冬の乾燥によって水分が失われる。(不感蒸泄)
- たくさんの薬を服用している場合、副作用で水分が排出される。
主な脱水症状は次の通りです。
- 口の中が乾燥している。
- 手足が冷たい。
- めまいやふらつきが見られる。
- 尿量が少ない。
- 尿の色が濃い。
- 下痢や嘔吐が見られる。
- 血圧が下がる。
- 体重が減少する。(→10%以上減少すると重症です)
- 意識を失う。(→重症です)
めまいがあればすぐに気づくと思います。
一方で、口腔ケアを介助していても口の渇きには気付きにくいものです。
(日ごろからよく観察している介護者の方は素晴らしいと思います。)
手足が冷たかったとしても別の原因を疑ってしまいます。
気付きにくいから、介護福祉士試験でよく出題されるのですね。
回復するにはどうしたらよいでしょうか?
脱水は体液が失われている状態です。
水だけではなく電解質も同時に補給する必要があります。
水に砂糖・塩を適量混ぜて作ります。
砂糖・塩の配合バランスが重要です。
作るのが難しいと感じる場合は、ドラッグストアなどでも販売しています。
速やかに補給すれば回復も早いです。
重症の場合は受診しましょう。
こまめに水分摂取して脱水を予防
高齢者の中にはトイレに行く回数を減らそうと、水分摂取を控える方もいます。
一度に摂取するとトイレが近くなるからです。
できれば高齢者が負担に感じないように、こまめに摂取するのが望ましいです。
衣類やエアコンで暑さ寒さを調整することも必要です。
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解説
改めて問題を検討します。
問題 38 高齢者の脱水に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 若年者よりも口渇感を感じやすい。
- 若年者よりも喉の渇きを「感じにくい」です。 →誤り
2 体内水分量は若年者よりも多い。
- 若年者に比べ「10%も少ない」です。 →誤り
3 起立時に血圧が上がりやすくなる。
- 脱水になると血圧や血流は「低下」します。 →誤り
4 下痢が原因となることはまれである。
- 症状によりますが、下痢を引き起こすことがあります。 →誤り
5 体重が減ることがある。
- 体内水分量が減ると体重も減ります。 →正しい
正答 5
選択肢を次のように対比すると分かりやすいです。
口渇感を ×感じやすい ⇔ 〇感じにくい
体内水分量が ×多い ⇔ 〇少ない
血圧は ×上がりやすい⇔ 〇下がりやすい
下痢が ×ない ⇔ 〇ある
体重が 〇減少する ⇔ ×増加する
介護福祉士試験では「正しいものを1つ選べ」という指示が多いです。
誤りの選択肢は、真実とは「真逆に」伝えているので表現が分かりやすいです。
明らかに違うと思う選択肢を消去して、残った選択肢を正解として選ぶのも一つの方法です。
解説は以上です。
2023年の介護福祉士試験に関する記事をまとめました。
こちらの記事もご覧ください。
まとめ
高齢者の脱水症状はいくつかあります。
気づきにくいこともあります。
様々な症状が現れるので、主な特徴を押さえておきましょう。