政令と条例の違いがわからない…
普通徴収は市町村へ直接払いで、特別徴収は給料天引き?
あれっ!?逆だったかな?
政令と条例は全く異なるものです。
国会で制定された法律に沿って内閣が政令を制定します。
法律や政令に沿って地方公共団体が条例を制定します。
効力の強い順番に並べると、「憲法」→「法律」→「政令」→「省令」→「条例」です。
憲法~省令は日本全国で、条例は各都道府県や各市町村で適用されるものです。
普通徴収は被保険者が、納付書や口座振替を使って市町村へ支払います。
特別徴収は老齢年金から天引きされる方法です。
どちらが「普通徴収」でどちらが「特別徴収」だろう?と迷ってしまいます。
この記事を読めば第1号被保険者が支払う介護保険料のルールを理解することができます。
ケアマネ試験対策として役に立ちます。
本試験に一発合格した筆者が分かりやすく解説します。
テーマは堅苦しいですが、試験勉強の合間にお読みください。
問題と解答【2022年-問10】
第1号被保険者が支払う介護保険料に関する問題です。
保険料については、さまざまな角度から出題されますので理解しづらいです。
しかし、基本的なことを理解していれば正解できます。
それでは問題を見てみましょう。
問題10 介護保険における第1号被保険者の保険料について正しいものはどれか。3つ選べ。
- 政令で定める基準に従い市町村が条例で定める。
- 保険料率は、おおむね5年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならない。
- 普通徴収の方法によって徴収する保険料については、世帯主に連帯納付義務がある。
- 普通徴収の方法によって徴収する保険料の納期は、政令で定める。
- 条例で定めるところにより、特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができる。
正答 1・3・5
選択肢1には政令や条例といった言葉が出てきます。
法律っぽいことは分かりますが、違いがわかりません…
選択肢「3」及び「4」は普通徴収について尋ねています。
普通徴収と特別徴収の違いが分かれば解けそうです。
さきほど「基本的なことを理解していれば正解できます。」と申し上げましたが、これだけでは物足りないので、もう少し知識が必要です。
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政令は内閣が定め、条例は地方公共団体が定める
政令と条例の意味について。
憲法とか法律とか何が違うのだろうと思いますが、これら法令には上下関係があります。
「国会」で制定された「法律」に沿って「内閣」が「政令」を作ります。法律や政令に沿って「都道府県」や「市町村」が「条例」を作ります。
その逆はあり得ません。(つまり、都道府県や市町村が定めた条例に沿って内閣が政令を定めることはありません。)
効力の強い順番に並べると、「憲法」→「法律」→「政令」→「省令」→「条例」です。
憲法~省令は日本全国で、条例は各地方で適用されるものです。
憲法は国の最高法規なので最上位です。
法律は憲法の内容に沿って国会で作られますので憲法の次(2番目)です。法律を制定するのは国会の仕事です。
次に政府(政令・省令)→都道府県(条例)→市町村(条例)の順番になります。
この力関係(?)を理解すれば問題を検討しやすくなります。
いろいろな決め事は国で行っていますが、窓口で介護保険の実務を実施しているのは「市町村」です。
保険料の決定や徴収は「市町村」の仕事です。何らかの事情で保険料を支払うことができないときは「市町村」へ相談します。
普通徴収は直接納付、特別徴収は給料天引き
退職後から老齢年金をもらうまでの期間、納付書などを使って自分で納付する仕組みが「普通徴収」です。
65歳以上であっても年金を受給していない、もしくは受給額が少ない場合は普通徴収になります。(年金から天引きできないからです。)
普通徴収の場合、会社は間に入らないので、自分で責任をもって支払わなければなりません。
介護保険法によると、第1号被保険者に未納があった場合、世帯主や配偶者に対して連帯して責任を負わせています。
これに対し、一定額以上の老齢年金を受給している第1号被保険者の場合は「特別徴収」になります。
年金から介護保険料が天引きされます。
「介護の備え」というブログで65歳以上の会社員の介護保険料について記事を書いています。
興味のある方はこちらもご覧ください。
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解説
問題10の各選択肢を解説します。
問題10 介護保険における第1号被保険者の保険料について正しいものはどれか。3つ選べ。
1. 政令で定める基準に従い市町村が条例で定める。
- 内閣が作ったルールに沿って、「市町村」が「条例」として定めます。 →正しい
2. 保険料率は、おおむね5年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならない。
- 「5年」ではなく、「3年」です。 →誤り
※第1号被保険者の介護保険料は3年に1回見直され、変更されています。
3. 普通徴収の方法によって徴収する保険料については、世帯主に連帯納付義務がある。
- 普通徴収の場合、勤務先は無関係なので世帯主が連帯保証人になります。配偶者に対しても同じです。 →正しい
- ※なかなか恐ろしい規定です。世帯主や配偶者の方は、家族が保険料をきちんと支払っているか見張りましょう。
4. 普通徴収の方法によって徴収する保険料の納期は、政令で定める。
- 普通徴収の場合、「市町村」へ支払います。国が徴収するわけではないので、政令ではなく「市町村」が「条例」で納期を定めます。 →誤り
5. 条例で定めるところにより、特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができる。
- 特別な理由があれば保険料の支払いを免除してもらう、あるいは保留にしてもらうことができます。ルールは支払先である「市町村」が「条例」で定めます。 →正しい
正答 1・3・5
保険料は制度が複雑なので、出題された範囲で理解しておけば本試験で得点できます。
過去問を正解できればクリアです。
解説は以上です。
2022年介護支援専門員の介護支援分野の過去問をまとめました。
こちらの記事もご覧ください。
まとめ
第1号被保険者の保険料は市町村が条例の定めに従って徴収することになっています。
その条例は国が定める法律や政令に沿って(矛盾しない形で)定められます。
保険料の制度について調べ始めると複雑であることが分かります。
過去問を中心に解いて、出題された範囲をマスターします。
くれぐれも深入りしないように気を付けましょう。