死期が近づいている高齢者…事故や災害による突然死…ショックな場面で必要とされるケアがあります。
介護の現場では、自宅または施設で看取りを希望する方が増えています。
介護福祉士試験では看取りに関する問題が必ず出題されます。
この記事を読めば、看取りに関する問題で得点することができます。
介護福祉士国家試験に一発合格し、老健でターミナルケアに携わった筆者がお伝えします。
問題と正答【2023年-問題29】
さっそく問題を見てみましょう。
問題 29 大切な人を亡くした後にみられる,寂しさやむなしさ,無力感などの精神的反応や,睡眠障害,食欲不振,疲労感などの身体的反応を表すものとして,最も適切なものを1 つ選びなさい。
- 認知症(dementia)
- グリーフ(grief)
- リビングウィル(living will)
- スピリチュアル(spiritual)
- パニック障害(panic disorder)
正答 2
「寂しさやむなしさ、無力感」「睡眠障害、食欲不振、疲労感」といったことから、
「1 認知症」や「5 パニック障害」は明らかに誤りなのではないかと考えます。
正解は「2 グリーフ」です。
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無力感が出現するのが特徴
グリーフ(grief)とは「深い悲しみ」「悲嘆」の意味です。
愛する人を亡くしたときの喪失感、無力感が出現します。
人間は「生老病死」という宿命から免れることができない以上、いずれは「愛別離苦」という愛する人の死に遭遇します。配偶者、子供、両親、兄弟姉妹など、生きる時間を共有してきた大事な人を失うと、深い、どうしようもない悲しみに包まれます。深い悲しみがストレッサーとなり、様々な不調をもたらします。
一般社団法人日本グリーフケア協会
https://www.grief-care.org
引用元のリンクはこちらです。(外部リンク)
この不調というのが、精神的反応と身体的反応です。
精神的反応として寂しさ、むなしさ、無力感を引き起こします。
身体的反応として睡眠障害、食欲不振、下痢などを引き起こします。
「グリーフケア」というものがあります。
残された家族の悲しみに寄り添うケアです。
何か特別なことをアドバイスするわけではありません。
悲しみを隠さずに表出してもらえばグリーフケアになります。
ちなみに、グリーフは死亡だけではなく、失業や病気なども含まれます。
症状も人によって様々です。
症状としては「無気力になってやる気が出ない状態」をイメージしてもらえれば理解が進むでしょう。
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解説
ここで他の選択肢も併せて検討します。
問題 29 大切な人を亡くした後にみられる,寂しさやむなしさ,無力感などの精神的反応や,睡眠障害,食欲不振,疲労感などの身体的反応を表すものとして,最も適切なものを1 つ選びなさい。
1 認知症(dementia)
- 「無力感」や「疲労感」といった症状は出ません。 →誤り
2 グリーフ(grief)
- 「深い悲しみ」「悲嘆」の意味です。 →正しい
3 リビングウィル(living will)
- living = 生きている間 will = 意思
- 死期が近づいている人が延命を希望するかどうか、書面などを使って意思表示することです。 →誤り
4 スピリチュアル(spiritual)
- spiritual = 魂の(→精神を超越したもの)
- スピリチュアルケアは生きる意味を見失った患者の痛みに対し、寄り添うケアのことです。 →誤り
- ※グリーフケアと似ていますがグリーフ=「悲しみ」とスピリチュアル=「痛み」の違いがあります。対象者はグリーフ=「残された家族」に対し、スピリチュアル=「患者本人」です。
5 パニック障害(panic disorder)
- 突然起こる強い恐怖と不安で発作が起こります。
- 動悸、めまい、呼吸困難などの身体的な症状があります。
- ※無力感とは対照的な症状です。
正答 2
グリーフとスピリチュアルが似ていますが、まったく異なるものです。
介護福祉士試験ではグリーフのほうが注目されています。
グリーフケアについて理解すればOKです。
ケアマネ試験対策ですが、こちらの記事もご覧ください。
2023年の介護福祉士試験の記事をまとめました。
こちらの記事もご覧ください。
まとめ
グリーフ(grief)とは「深い悲しみ」「悲嘆」の意味です。
精神的反応として寂しさ、むなしさ、無力感を引き起こします。
身体的反応として睡眠障害、食欲不振、下痢などを引き起こします。
症状としては「無気力になってやる気が出ない状態」をイメージしてもらえれば、グリーフに対する理解が進むでしょう。