MCIとは何?
高齢化が進んでいるのに、認知症患者を減らすことなんてできるの?
MCI(軽度認知障害)とは、認知症になる「一歩手前」の状態です。
認知症に進行することもあれば、逆に改善することもあります。
MCIは認知症ではありません。
日本の高齢化施策はオレンジプランから新オレンジプラン、認知症施策推進大綱へと進化させて現在も進行中です。
認知症の患者数を減らすことは困難です。
認知症を予防する観点で作られた政策は、もはや予防の段階ではありません。
認知症の進行を「遅らせる」方針へシフトしています。
まさに今、日本が直面している課題です。
「待ったなし!」の差し迫った事態です。
他の先進国もこれから深刻な高齢化を迎えます。
世界が日本の認知症施策に注目しています。
この記事を読めば、日本の認知症に対する政策が分かります。
認知症に対する基本的理解に役立ちます。
重度認知症ご利用者のケアプランを作成した筆者が、ケアマネ試験問題を挙げて分かりやすくお伝えします。
タイトルは硬いのですが、内容は易しいです。
読み物として気楽にご覧ください。
問題と正答【2023年-問31】
問題31 認知症について適切なものはどれか。3つ選べ。
1. 認知症施策推進大綱においては、発症を遅らせることを目指している。
2. 運動不足の改善は、認知症の予防につながらない。
3. 自分の意思で決定できるように支援することが大切である。
4. MCI(軽度認知障害)は、すべて認知症に移行する。
5. 前頭側頭型認知症の症状の一つとして、物品の名前が出てこない意味性認知症の症状がある。
1・3・5
明らかに誤っている選択肢を削除して、正解を選びましょう。
選択肢2が明らかに誤りです。
選択肢4のMCIについて理解できていれば、この問題はクリアです。
MCIとは認知症の一歩手前の状態
MCI(軽度認知障害)とは、次のように定義されています。
MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)とは、認知症と完全に診断される一歩手前の状態です。放っておくと認知症に進行しますが、適切な予防をすることで健常な状態に戻る可能性があります
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター『あたまとからだを元気にするMCIハンドブック』2022年 https://www.mhlw.go.jp/content/001100367.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/001100367.pdf (外部リンク)
MCI(軽度認知障害)とは、認知症になる「一歩手前」の状態です。
認知症に進行することもあれば、逆に改善することもあります。
MCIは認知症ではありません。
高齢期に痩せていると認知症にかかりやすいそうです。
中年期に太っていると認知症にかかりやすいそうです。
特定健診でメタボ検査をするのも認知症予防と言えるでしょう。
メタボリックシンドロームについて、別の記事でご覧ください。
運動は認知機能の改善に効果があります。
週3日以上、1日2時間以上、「中強度」の運動をすると良いと言われています。
しかし、ひざを痛めてしまうなど、負荷をかけると逆効果になります。
散歩やヨガなど軽負荷トレーニングが良いと思います。
世界が注目する日本の認知症施策
日本は世界でも高齢化が早く進んでいる国です。
世界の中で最初に高齢化問題に直面するのが日本です。
どのような政策をとるのか、世界が注目しています。
これまでの日本の認知症施策について、簡単な流れを押さえます。
- 介護保険スタート
- → 認知症施策推進五ヵ年計画(オレンジプラン)
- → 認知症施策推進総合戦略認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて(新オレンジプラン)
- → 認知症施策推進大綱
当初から声高に謳われていたのは、認知症の「早期発見(診断)・早期対応」です。
認知症予備軍とされるMCIの早期発見を重要視しているのは、このためです。
何とか先手を打って、認知症の前段階から予防していこうと考えられていました。
認知症を予防するという政策方針を批判するつもりはないのですが、事実として、これだけ高齢者が増加すれば予防しきれないでしょう。
認知症施策推進大綱は「認知症を予防できたらいいな~」から「(予防できなければ)せめて遅らせたらいいな~」という方針に変わっています。
具体的な取り組みはいくつもありますが、細かい記事になってしまうので、ここでは割愛します。
認知症施策によって、身近に起こった変化はあまり感じられません。(当事者でないから?)
日本の先進医療の知見を活かして、新薬などの医療研究が進めばいいなと思います。
介護福祉士試験では認知症ライフサポートモデルについて出題されました。
認知症ライフサポートモデルについて、こちらの記事もご覧ください。
解説
これまでの内容を踏まえて、再度問題を見てみます。
簡単な解説と正答も記載しました。
問題31 認知症について適切なものはどれか。3つ選べ。
1. 認知症施策推進大綱においては、発症を遅らせることを目指している。
〇 正しい
認知症「予防」はあきらめ、「遅らせる」にシフトしています。
2. 運動不足の改善は、認知症の予防につながらない。
× 誤り
運動すると脳の血流が良くなり、認知症の改善に効果があります。
3. 自分の意思で決定できるように支援することが大切である。
〇 正しい
「意思尊重」と「自己決定」が認知症対応の大前提です。
4. MCI(軽度認知障害)は、すべて認知症に移行する。
× 誤り
MCIは認知症ではありません。改善することもあります。
「すべて」の部分が誤りです。
5. 前頭側頭型認知症の症状の一つとして、物品の名前が出てこない意味性認知症の症状がある。
〇 正しい
前頭葉は「状況判断」をするところで、側頭葉は「記憶」を処理するところです。
いずれも、最も大きな大脳の中にあります。
正答 1・3・5
おさらい記事はこちら
以下のリンクから、お好きな記事へアプローチすることができます。
ぜひご活用ください。
まとめ
MCIと認知症施策についてお伝えしました。
MCI(軽度認知障害)とは、認知症になる「一歩手前」の状態です。
認知症に進行することもあれば、逆に改善することもあります。
MCIは認知症ではありません。
日本の高齢化施策はオレンジプランから新オレンジプラン、認知症施策推進大綱へと進化させて現在も進行中です。
認知症の患者数を減らすことは困難です。
認知症を予防する観点で作られた政策は、もはや予防の段階ではありません。
認知症の進行を「遅らせる」方針へシフトしています。
この記事がお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。