施設ケアプランの更新頻度とモニタリング回数【介護支援専門員試験2023年-問22】

施設ケアプランの更新頻度とモニタリング回数【介護支援専門員試験2023年-問22】 介護支援専門員試験

施設ケアマネのモニタリングは月1回と決められているの?

ケアプランの更新頻度は?

特養の施設ケアマネが行うべきモニタリング及びケアプラン更新の頻度は、「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」(以下、「運営基準」)12条に規定されています。

特養だけでなく、老健、介護医療院といった施設サービスでは、居宅サービスと比べて基準が緩やかです。

実は、施設ケアマネが行うべきモニタリング回数に決まりはありません。

1名の施設ケアマネが、入所者100名のケアプラン作成を担当できることになっています。

受け持つ人数が多いので、モニタリングも丁寧に行うことができないのが現状です。

モニタリングを実施するということは、その先に、ケアプラン見直しが待っています。

ケアプランの更新は、要介護認定「更新」または「区分変更」の都度行うことが決められています。

逆に言えば、介護保険有効期限を守れば、その間ケアプランを更新しないことも理論上は可能です。

しかし、実際にはご利用者の状態変化があれば、ケアプランを見直す必要があります。

2~3年間まったくプランを見直さないのは現実的ではありません。

筆者の場合、少なくとも1年に1回ケアプランを更新していました。

この記事を読めば、施設ケアマネになったときにどれくらいの頻度でケアプランを更新すればよいのかが分かります。

ケアマネ試験対策としても有効です。

これから実務につく方、試験勉強をしている方などに読んでいただきたいです。

老健でケアマネをしていた筆者が、ケアマネ試験問題を挙げて分かりやすくお伝えします。

問題と正答【2023年-問22】

まずは試験でどのように問われているかを確認してから一つずつ解説します。

問題の直後に正答を記載しています。

問題22 指定介護老人福祉施設の施設サービス計画について正しいものはどれか。2つ選べ。

1. モニタリングは、少なくとも月に1回行われなければならない。

2. アセスメントは、入所者及びその家族に面接して行わなければならない。

3. 計画の交付は、家族に行えばよい。

4. 地域の住民による自発的な活動によるサービス等の利用も含めて位置付けるよう努めなければならない。

5. 介護支援専門員以外の者も作成できる。

2・4

解法のポイント

1.居宅ケアマネはモニタリングを月1回行っているが、施設ケアマネの場合はどうか?

2.アセスメントを入所者に対して実施するのは当然だけれども、家族に対して必要?

3.ケアプランを配る相手は「入所者」か、または「家族」か、あるいは「入所者と家族」なのか?

4.「社会資源の活用」です。

5.ケアプランを作れるのは、介護支援専門員の資格を持つ人だけです。

モニタリング回数に決まりはない

居宅ケアマネは、モニタリングを月1回以上行わなければならないと決められています。(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 13条14号イ)

(2024年より、テレビ電話装置等でのモニタリングが例外的に認められています。)

一方、特養や老健、介護医療院といった施設サービスの場合、モニタリングを「定期的に」実施する規定はあるものの、具体的な回数は決められていません。(運営基準12条11項)

施設ケアマネの裁量で頻度を設定して、定期的にモニタリングを実施します。

老健の場合、3か月に1回、「居宅において日常生活を営むことができるかどうかについて定期的に検討しなければならない」という規定があります。

筆者はこの規定を根拠(名目?)に、3か月に1回はモニタリングを行っていました。

もちろん、月1回でもOKです。

少なくとも、1年に1回はモニタリングしたほうが良いでしょう。

モニタリングでご利用者の状態変化があれば、ケアプランの有効期限が到来していなくとも、プラン変更を検討します。

次章ではそのケアプラン変更について、どれくらいの頻度で行うのか検証します。

ケアプランは要介護認定区分の見直しの都度更新する

施設ケアマネは入所の際に施設サービス計画書(ケアプラン)原案を作成しなければなりません。

再入所の際も同様です。

入所中にケアプランを作成し直さなければならないタイミングは次の通りです。

  • 要介護認定を更新したとき(認定区分に変更がなかった場合も含む)
  • 区分変更したとき

つまり、区分変更申請などのイベントがなければ、およそ2~3年間はケアプランを更新する必要はないことになります。

しかし、高齢者にとって、1年もすれば状態は変化するのが常です。

何年間も同じプランだと形骸化してしまうので、1年に1回は更新するのが良いでしょう。(プラン作成は大変ですが…)

こまめにプランを見直せば、ケアマネ自身が経過を把握することが容易になります。

後々役に立つこともあります。

説明・同意(署名)・交付は誰のこと?

作成したケアプランを誰に説明して、誰から同意(署名)を得て、誰に対して交付(配布)するか…

これらについては、運営基準に明確に規定されています。

  • 説明…入所者又はその家族【運営基準12条4項】
  • 同意…入所者(ただし「文書により」同意を得る=署名が必要)【運営基準12条7項】
  • 交付…入所者【運営基準12条8項】

「文書により同意を得る」とは、つまり「署名」を得るということになります。

実務上はご家族による代筆も可能です。

ご家族代筆の場合、ご家族氏名と続柄を署名するなど、ご家族が代筆したことが分かるようにします。

実務ではケアプランをご家族へ渡すことが多いのですが……運営基準では「入所者」へ交付することになっています。

形式上はご利用者へケアプランを交付する決まりになっています。

解説

運営基準12条を理解していると、本問は確実に得点できます。

ですが、条文を丸暗記する必要はありません。

問題22の各選択肢について簡単に解説します。

問題22 指定介護老人福祉施設の施設サービス計画について正しいものはどれか。2つ選べ。

1. モニタリングは、少なくとも月に1回行われなければならない。

× 誤り

居宅ケアマネに関する記述です。

施設ケアマネは「定期的に」行うことになっています。

2. アセスメントは、入所者及びその家族に面接して行わなければならない。

〇 正しい

両者に面接して行う必要があります。(運営基準12条4項)

3. 計画の交付は、家族に行えばよい。

× 誤り

「入所者」に対して交付します。(運営基準12条8項)

※「家族」へ交付する必要はありません。

4. 地域の住民による自発的な活動によるサービス等の利用も含めて位置付けるよう努めなければならない。

〇 正しい

運営基準12条2項の規定です。

※社会資源を活用することが基本です。

5. 介護支援専門員以外の者も作成できる。

× 誤り

管理者は「介護支援専門員」に対して、施設サービス計画の作成を命じます。(運営基準12条1項)

※ケアマネジャー「以外」の者がケアプランを作成することはできません。

正答 2・4

おさらい記事はこちら

以下のリンクから、お好きな記事へアプローチすることができます。

ぜひご活用ください。

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まとめ

施設ケアマネのアセスメントは「定期的に」行うことになっています。

「更新認定」「区分変更」の際にケアプランを更新します。

説明は「入所者」と「家族」、同意は「入所者」(文書による=署名)、交付は「入所者」です。

面白くない条文なのですが、「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」12条をご一読いただけると納得できると思います。

施設ケアマネの仕事が少しでもイメージできたら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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