ケアマネの駆け込み寺ではない~地域ケア会議の機能5つ~【介護支援専門員試験2023年-問14】

ケアマネの駆け込み寺ではない~地域ケア会議の機能5つ~【介護支援専門員試験2023年-問14】 介護支援専門員試験

地域ケア会議では困難事例について、解決に向けてみんなで話し合っているのだ

ほかにはどんなことをしているの?

地域ケア会議は、高齢者を支援することが目的で、社会制度の整備を同時に進める地域包括ケアシステムの手法です。

地域包括支援センターが主催します。

市町村が社会福祉法人や医療法人などへ運営を委託します。

介護保険法に則って運営される公的機関です。

地域ケア会議には5つの機能があります。

地域ケア会議の機能5つ
  1. 個別課題解決機能
  2. ネットワーク構築機能
  3. 地域課題発見機能
  4. 地域づくり・資源開発機能
  5. 政策形成機能

主な構成員は次の通りです。

地域ケア会議の構成員(例)
  • 地域包括支援センター
  • 自治体
  • ケアマネジャー
  • 介護事業者
  • 医師
  • 看護師
  • その他医療従事者
  • 自治会
  • 民生委員
  • ボランティア  など

(参考)

厚生労働省「地域ケア会議について」 

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/dl/link3-1.pdf (外部リンク)

この記事を読めば、地域ケア会議について何も知らない方でも、大まかな役割を知ることができます。

筆者は地域ケア会議に出席したことはありません。

ですが、地域包括支援センターの方と困難事例について相談に乗ってもらったことがあります。

結果として、あまり積極的に関わってくれることはありませんでした。

筆者の経験談も踏まえて、ケアマネ試験問題の解説をします。

試験勉強に疲れた方、初めてケアマネ試験を受験される方にぜひ読んでいただきたいです。

問題と正答【2023年-問14】

地域ケア会議に関する問題です。

問題の直後に正答を掲載しています。

問題14 地域ケア会議の機能として正しいものはどれか。3つ選べ。

1.個別課題の解決

2.地域づくり・資源開発

3.政策の形成

4.地域包括支援センターから提出された事業計画書の評価

5.日常生活自立支援事業の生活支援員の指名

1・2・3

解法のポイント

1.地域ケア会議では困難事例について話し合います。

2.「地域」というキーワードがポイントです。

3.政策に関わることも地域ケア会議の役割?

4.包括職員が作成した事業計画書をみんなで集まって評価するのでしょうか?

5.日常生活自立支援事業は地域包括支援センターの業務かどうか?

事業計画書?日常生活自立支援事業?地域包括にそんなものがあったかなぁ…と疑います。

地域ケア会議の機能は5つ

地域ケア会議の機能は5つです。

これが分かれば問14は正解できます。

地域ケア会議の機能5つ
  1. 個別課題解決機能
  2. ネットワーク構築機能
  3. 地域課題発見機能
  4. 地域づくり・資源開発機能
  5. 政策形成機能

要約すると、困難事例解決・地域連携・政策提言といった業務です。

以下、先ほどの厚生労働省資料を参考にして一つずつ説明します。

暗記する必要はありません。

個別課題解決機能

  • 自立支援に資するケアマネジメントの支援
  • 支援困難事例等に関する相談・助言

ケアマネジャーのサポート及びスキルアップを図っています。

サービス担当者会議の進め方を支援しています。

ネットワーク構築機能

  • 地域包括支援ネットワークの構築
  • 自立支援に資するケアマネジメント の普及と関係者の共通認識
  • 住民との情報共有
  • 課題の優先度の判断
  • 連携・協働の準備と調整

「ネットワーク」とは、主に「ケアマネ」と「地域関係者」とのネットワークをイメージできます。

地域課題発見機能

  • 潜在ニーズの顕在化
  • サービス資源に関する課題
  • 顕在ニーズ相互の関連づけ

見えているニーズだけではなく、見えていないニーズがないか確認しているのですね。

確かに複数人で検討したほうが課題が見えてきます。

地域づくり・資源開発機能

  • 有効な課題解決方法の確立と普遍化
  • 関係機関の役割分担
  • 社会資源の調整
  • 新たな資源開発の検討、地域づくり

必要に応じて社会資源の開発を試みています。

政策形成機能

  • 需要に見合ったサービスの基盤整備
  • 事業化、施策化
  • 介護保険事業計画等への位置づけ
  • 国・都道府県への提案

ここまで来ると、行政機関の仕事になってきます。

ケアマネの力量では解決できません。

地域ケア会議はケアマネの駆け込み寺ではない

地域ケア会議というと次のようなイメージです。

  1. 新人ケアマネが困難事例を抱える
  2. 解決できずに困る
  3. 地域包括支援センターへ相談
  4. 地域ケア会議招集

地域ケア会議はケアマネが困ったときに一緒に相談に乗って解決してくれる駆け込み寺にならないと考えます。

その理由は次の通りです。

  • 利用者の契約相手は地域包括支援センターではなく、居宅介護支援事業所(ケアマネ)であること
  • 市町村から委託を受けた地域包括支援センターは地域ケアシステムの実践が求められているものの、成果を出す義務はないこと

ケアマネから相談を受け付けても、解決する義務はないのです。

地域包括【先生】、ケアマネ【生徒】の師弟関係で一方的に指導されて終わることもあります。

老健相談員(筆者)から見た地域包括は、相談すら乗ってもらえない縁遠い存在でした。(悩みを聞いてもらうことはできましたが…)

介護保険施設も地域包括ケアシステムの一員ではないのでしょうか。

とは言いつつも…

地域包括ケアセンターは必要不可欠です。

高齢者人口3,000~6,000人のエリアに1か所設置される地域包括支援センターは、困難事例の解決だけではなく、介護予防支援のプラン作成、その他上記の業務をこなさなければならない多忙なところです。

燃え尽きる職員もいると聞きます。大変な仕事だと思います。

ワンストップで相談を受け付けるので、住民の強い味方です。

地域包括支援センターが果たす役割

地域ケア会議がメインテーマでしたが、

地域包括支援センターは地域ケア会議のほかにも様々な仕事をしています。

被保険者に代わって要介護認定の申請をしています。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

解説

問題に戻ります。

各選択肢のあとに簡単な解説を載せています。

問題14 地域ケア会議の機能として正しいものはどれか。3つ選べ。

1.個別課題の解決

〇 正しい

5つの機能のうちの1つ、個別課題解決機能です。

ケアマネのサポート及びスキルアップを図っています。

2.地域づくり・資源開発

〇 正しい

地域づくり・資源開発機能です。

社会資源の調整・開発のことです。

3.政策の形成

〇 正しい

政策形成機能です。

ここまで来ると、実務レベルではなく政策の提言になります。

4.地域包括支援センターから提出された事業計画書の評価

× 誤り

地域ケア会議で事業計画書を評価するといった決まりはありません。

5.日常生活自立支援事業の生活支援員の指名

× 誤り

日常生活自立支援事業は社会福祉協議会の業務です。

地域ケア会議の議題にはなりません。

正答 1・2・3

おさらい記事はこちら

以下のリンクから、お好きな記事へアプローチすることができます。

ぜひご活用ください。

まとめ

地域ケア会議と地域包括支援センターについて、筆者の感想も踏まえてお伝えしました。

地域ケア会議の機能を理解しましょう。

地域ケア会議の機能5つ
  1. 個別課題解決機能
  2. ネットワーク構築機能
  3. 地域課題発見機能
  4. 地域づくり・資源開発機能
  5. 政策形成機能

試験勉強の参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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