社会保険診療報酬支払基金はマイナーな存在?【介護支援専門員試験2023年-問12】

社会保険診療報酬支払基金はマイナーな存在?【介護支援専門員試験2023年-問12】 介護支援専門員試験

支払基金の業務内容を教えて!

国保連との違いがわからない…

社会保険診療報酬支払基金(以下、「支払基金」)は医療費のうち、自己負担を除いた保険給付費を支払っている民間の機関です。

主にお金の管理をしているところです。

病院や診療所から提出される保険請求の内容が正しいかどうかチェックし、支払いをするのが仕事です。

健康保険だけではなく、介護保険第2号被保険者の保険料も管理しています。

国民健康保険団体連合会(以下、「国保連」)と似たような役割がありますが、まったく別の組織です。

国保連は介護保険請求の内容チェックと支払いを行っています。

介護保険の請求業務をしていると、国保連とのお付き合いはありますが、支払基金と連絡を取ることは滅多にありません。

この記事を読めば支払基金の業務内容、国保連との違いを知ることができます。

老健で請求業務を経験した筆者が、ケアマネ試験問題を取り上げ詳しく説明します。

問題と正答【2023年-問12】

試験によく出題される範囲です。

さっそく問題を見てみましょう。

問題のあとに正答を記載しています。

問題12 社会保険診療報酬支払基金の介護保険関係業務として正しいものはどれか。2つ選べ。

1. 医療保険者から介護給付費・地域支援事業支援納付金を徴収する。

2. 第1号被保険者の保険料に係る特別徴収を行う。

3. 都道府県に対し介護給付費交付金を交付する。

4. 市町村に対し地域支援事業支援交付金を交付する。

5. 介護保険サービスに関する苦情への対応を行う。

1・4

解法のポイント

1. 「地域支援事業支援納付金」とは何?

2. たしか第1号被保険者の保険料は市町村が徴収していたはず(例:年金天引き)

3. 「都道府県」に対して?

4. 「市町村」に対して?「地域支援事業支援交付金」とは何?

5. 苦情といえば国保連です

4.の地域支援事業支援交付金を知っているかどうかが明暗を分けそうです。

1.の地域支援事業支援「納付金」と比べて何が違うのでしょうか…

社会保険診療報酬支払基金は脇役

支払基金について、ホームページではこのように紹介されています。

支払基金は、健康保険制度における診療報酬の「審査」及び「支払」について、保険者等の委託を受けて実施する審査支払の専門機関です。

社会保険診療報酬支払基金ウェブサイトより引用 
https://www.ssk.or.jp/kikin.html (外部リンク)

支払基金は医療保険(健康保険)ではよく登場します。「主役」に近い存在です。

一方、介護保険ではあまり目立たない存在です。

言ってしまえば脇役です。

しかし、重要な任務を背負っています。

その目玉は「第2号被保険者の介護保険料徴収」です。

40歳から65歳までの第2号被保険者は、協会けんぽや健保組合などの医療保険者に対して、健康保険料と介護保険料を併せて納付する仕組みになっています。

したがって、第2号被保険者の保険料はこの支払基金を経由して市町村へ渡ることになります。

全体像は次の通りです。

社会保険診療報酬支払基金

社会保険診療報酬支払基金ウェブサイトより引用

https://www.ssk.or.jp/jigyonaiyo/kaigo/kaigo_01.html (外部リンク)

支払基金と国保連の決定的な違いは何でしょうか?

国保連との違い

国保連は、各都道府県に設置された公法人です。知事が認可しています。

保険料の流れを図にしてみました。

保険料の流れ
筆者作成

文章にすると次の通りです。

第1号被保険者は保険料を直接市町村へ納付します。

これに対し、第2号被保険者は協会けんぽ・健保組合などの医療保険者へ健康保険料と併せて納付します。

医療保険者は被保険者から預かった保険料を「介護給付費・地域支援事業支援納付金」と名前を変えて支払基金へ支払います。

支払基金は医療保険者から預かった「介護給付費・地域支援事業支援納付金」を「介護給付費・地域支援事業支援交付金」と、またまた名前を変更して市町村へ納めます。

国保連はサービス事業者から保険請求を受けると審査・支払いを行います。

医療保険では支払基金が担っている役割を、介護保険では国保連が担当するわけです。

保険給付について、こちらの記事もご覧ください。

支払基金と国保連は他にも取り扱う業務が多くありますが…

ケアマネ試験対策としてはここまで理解すれば大丈夫です。

保険料の流れについては実務でも必要になる知識です。

大まかに押さえておきましょう。

解説

前出の図を参考にして、もう一度問題を見てみましょう。

問題12 社会保険診療報酬支払基金の介護保険関係業務として正しいものはどれか。2つ選べ。

1. 医療保険者から介護給付費・地域支援事業支援納付金を徴収する。

〇 正しい

「納付金」という名の保険料を健康保険料と併せて受け取ります。

2. 第1号被保険者の保険料に係る特別徴収を行う。

× 誤り

第1号被保険者の保険料は、「市町村」が直接徴収します。

3. 都道府県に対し介護給付費交付金を交付する。

× 誤り

「市町村」に対して交付します。

4. 市町村に対し地域支援事業支援交付金を交付する。

〇 正しい

前出の図の通りです。

5. 介護保険サービスに関する苦情への対応を行う。

× 誤り

苦情の受付を行っているのは「国保連」です。

正答 1・4

おさらい記事はこちら

以下のリンクから、お好きな記事へアプローチすることができます。

ぜひご活用ください。

まとめ

支払基金の業務と介護保険料の流れについてお伝えしました。

支払基金は介護保険では第2号被保険者の保険料を預かり、市町村へ渡す業務を行っています。

保険請求の審査・支払いを行うのは支払基金ではなく「国保連」です。

この記事がお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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