ソーシャルワークの意味が分からない…
ケアマネ試験の攻略法を教えて!
社会福祉士になって早14年……恥ずかしながら、まだソーシャルワークの意味を理解していません…
困っている人の相談を受ける仕事だと理解していますが、説明できるほど理解しているとは言えません。
もしも試験問題として出題されたら…もちろん対策があります。
次の通り、キーワードを分類してみました。
- ソーシャルワークと相性の良い、ポジティブキーワードがあります。(個別化、自己決定、当事者、相互作用、信頼関係、代弁、セルフヘルプ)
- ソーシャルワークと相性の悪い、ネガティブキーワードもあります。(画一化、共通、リーダーシップ)
これらを区別することで、ソーシャルワークの本質が分からなくても得点することができます。
以上のキーワードが全てではありませんが…
合格してから改めてソーシャルワークの研究を積むのも良いでしょう。
まずはケアマネ試験合格することが先決です!
この記事を読めば、試験で得点できず悩んでいる方にとって、正誤の判断力を培うことができるようになります。
この記事は問題演習としてではなく、読み物としてご覧になることもできます。目次「問題と正答」を飛ばして「解説」だけお読みください。
気楽に始めましょう。
ソーシャルワークの定義は分かりにくい
ソーシャルワークとは何か?
このような質問をされると、まるで答えの出ない質問をされているようです。
ソーシャルワークは日本では馴染みがないのですが、アメリカやイギリスをはじめ、世界ではよく知られています。
各国の法制度によってソーシャルワーカーの位置づけは様々ですが、海外でソーシャルワーカーは「人助け」に関わる仕事であり、リスペクトされる職種であることは共通しています。
国際ソーシャルワーカー連盟は、ソーシャルワークを次のように定義しています。
ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。ソーシャルワークの理論、社会科学、人文学および地域・民族固有の知を基盤として、ソーシャルワークは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々やさまざまな構造に働きかける。この定義は、各国および世界の各地域で展開してもよい。
国際ソーシャルワーカー連盟 グローバル定義
これが、何度読んでも、何度聞いても理解できないのです…
仕事内容なのか?理念なのか?職業の説明なのか?
あらゆる疑問が疑問を呼びます。
深く考えるとキリがありません。
試験対策だと割り切るほかないでしょう。
次章からケアマネ試験で出題された過去問を実際に解いてみます。
今回取り上げるのは3問です。
「問題と正答」を飛ばして「解説」のみご覧いただいても結構です。
ソーシャルワークとは?
問題と正答【2023年-問47】
問題47 ソーシャルワークに関する次の記述のうち、より適切なものはどれか。2つ選べ。
1. 個人の問題解決力や対処能力を強化する役割がある。
2. 支援の終結と事後評価の後のアフターケアが含まれる。
3. ラポールとは、特定領域の専門家から助言・指導を受けることである。
4. アドボカシーとは、クライエントが相談した機関では必要な援助ができないとき、他機関へ紹介することである。
5. 送致とは、自己の権利を表明することが困難なクライエントに代わり、援助者が代理としてその権利獲得を行うことである。
1・2
解説【2023年-問47】
ポジティブキーワードは「個人(個別化)」、「アフターケア」、「信頼関係」、「代弁」です。
1. 個人の問題解決力や対処能力を強化する役割がある。
〇 正しい
個人(クライエント)が自分自身で問題を解決できるようにすることが、ソーシャルワークの役割です。
2. 支援の終結と事後評価の後のアフターケアが含まれる。
〇 正しい
アフターフォローは必要です。
3. ラポールとは、特定領域の専門家から助言・指導を受けることである。
× 誤り
ラポールとは、「信頼関係」のことです。
4. アドボカシーとは、クライエントが相談した機関では必要な援助ができないとき、他機関へ紹介することである。
× 誤り
アドボカシーは、「代弁」(クライエントの代わりに意思を伝えること)です。
5. 送致とは、自己の権利を表明することが困難なクライエントに代わり、援助者が代理としてその権利獲得を行うことである。
× 誤り
送致とは「相談案件を他の公的機関へ移す」ことです。
ここでは、選択肢4が「送致」の説明になります。
ケースワークの7原則
ソーシャルワークの大原則を記したバイブルがあります。
バイスティック著『ケースワークの原則』です。
比較的読みやすく、分量は多くありません。
ぜひ一読されることをオススメします。
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問題と正答【2023年-問48】
問題48 ソーシャルワークにおける相談援助者の基本姿勢として、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1. 統制された情緒的関与とは、個々の人間の状況は独自なものであり、一つとして同じ問題はないと捉え、支援することである。
2. サービスについて様々な情報提供を行い、利用するサービスや事業者をクライエントが決定できるようにする。
3. 非審判的態度で関わる必要がある。
4. クライエントを画一的に分類して、援助計画を立てることが必要である。
5. 意図的な感情表出とは、クライエントが感情を自由に表現できるように、意識してクライエントに接することである。
2・3・5
前述『ケースワークの原則』の7原則を理解すれば正解することができます。
解説【2023年-問48】
ポジティブキーワードは、「統制された情緒的関与」、「個別化」、「クライエントが決定(自己決定)」、「非審判的態度」、「意図的な感情表出」です。
ネガティブキーワードは、「画一的」です。
問題48 ソーシャルワークにおける相談援助者の基本姿勢として、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1. 統制された情緒的関与とは、個々の人間の状況は独自なものであり、一つとして同じ問題はないと捉え、支援することである。
× 誤り
「個別化」の説明です。
2. サービスについて様々な情報提供を行い、利用するサービスや事業者をクライエントが決定できるようにする。
〇 正しい
「自己決定」です。
3. 非審判的態度で関わる必要がある。
〇 正しい
非審判的態度とは、援助者が「いやっ、それは違うよ」と口をはさみ、クライエントを(全)否定する態度をとらないことです。
4. クライエントを画一的に分類して、援助計画を立てることが必要である。
× 誤り
「画一的」というキーワードは、「個別化」の原則に反しています。
5. 意図的な感情表出とは、クライエントが感情を自由に表現できるように、意識してクライエントに接することである。
〇 正しい
文字通り、意図してクライエントの感情を表現させることです。
本問で出てこなかった、残る2つの原則は次の通りです。
整理すると、ケースワークの原則は次の7つです。
よく出題されるうえ、実務でも役立ちます。
『ケースワークの原則』の内容が穴埋め問題のようにそのまま出題されます。
どの教科書よりも教科書らしい一冊です。
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集団援助(ソーシャルグループワーク)
「集団援助(技術)」というと難しく聞こえますが、文字通りに簡単に解釈します。
クライエント(利用者)が集まって、「当事者同士」で話し合って、「個人」の課題を解決する手法です。
同じ立場の人が集まれば分かり合えることも多いです。
心強い安心感とスムーズな問題解決を図ります。
問題と正答【2023年-問49】
問題49 ソーシャルワークにおける集団援助について、より適切なものはどれか。2つ選べ。
1. グループで生じるメンバーの相互作用を意図的に活用する。
2. プログラム活動は、ソーシャルワーカーの興味や関心事から開始して、そのリーダーシップの下で展開する。
3. メンバーの個別課題と結び付けて支援するよりも、メンバーに共通する課題の解決を優先する。
4. 他のメンバーの行動を観察することは、自分の問題について新たな見方を獲得する機会にはならない。
5. 生きがいを喪失しているような心理的ニーズの高い高齢者に対しては、セルフヘルプグループのミーティングを活用することも効果的である。
1・5
解説【2023年-問49】
ポジティブキーワードは、「(当事者の)相互作用」、「セルフヘルプ」です。
ネガティブキーワードは、「リーダーシップ」、「共通」です。
問題49 ソーシャルワークにおける集団援助について、より適切なものはどれか。2つ選べ。
1. グループで生じるメンバーの相互作用を意図的に活用する。
〇 正しい
「当事者同士」で集まるとメリットがあります。
2. プログラム活動は、ソーシャルワーカーの興味や関心事から開始して、そのリーダーシップの下で展開する。
× 誤り
主体はクライエントです。当事者同士で問題解決をします。リーダーシップは不要です。
3. メンバーの個別課題と結び付けて支援するよりも、メンバーに共通する課題の解決を優先する。
× 誤り
集団援助のゴールは、「集団」ではなく「個人」の課題解決です。
4. 他のメンバーの行動を観察することは、自分の問題について新たな見方を獲得する機会にはならない。
× 誤り
集団援助の狙いは、「個人」の課題が解決されることです。
5. 生きがいを喪失しているような心理的ニーズの高い高齢者に対しては、セルフヘルプグループのミーティングを活用することも効果的である。
〇 正しい
集団援助は「当事者同士」という点で、セルフヘルプグループとアプローチが似ています。相性も良いです。
おさらい記事はこちら
以下のリンクから、お好きな記事へアプローチすることができます。
ぜひご活用ください。
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まとめ
ソーシャルワークとは何か?というテーマでお伝えしました。
試験対策として、キーワードでヒントをつかみましょう。
- ソーシャルワークと相性の良いポジティブキーワードがあります。(個別化、自己決定、当事者、相互作用、信頼関係、代弁、セルフヘルプ)
- ソーシャルワークと相性の悪いネガティブキーワードもあります。(画一化、共通、リーダーシップ)
これらを区別することで、少なくとも資格試験の対策になります。
何となく理解しづらい「ソーシャルワーク」について、ほんの少し理解が進めば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。