発達障害の今~神経発達症がグローバルスタンダード~【社会福祉士試験2024年-問6】

社会福祉士試験

発達障害って広い意味で使われるけれど、いったい何を指すのか分からない…

発達障害は日本で生まれた独自の概念です。

国際的には、「精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM- 5)」が使われています。

幾度となく改訂を重ね、バージョンアップしてきました。

日本ではまだ「発達障害」というネーミングに馴染みがありますが、これからの時代は世界標準に合わせ「神経発達症(障害)」が定着するかもしれません。

「神経発達症(障害)」よりも「発達障害」のほうが狭い意味で使われます。

厳密に言えば両者の意味は同じではありません。

社会福祉士試験では、新しい概念である「神経発達症(障害)」の領域を学習します。

新しい傾向を押さえておくことが、試験攻略のカギとなります。

神経発達症として分類されている病名をまとめると、次の通りです。

神経発達症
  • 知的能力障害
  • コミュニケーション症
  • 自閉スペクトラム症(ASD)
  • 注意欠如・多動症(ADHD)
  • 限局性学習症(LD)
  • 運動症
  • チック症
  • 他の神経発達症

この記事を読めば、発達障害に関する病名を整理して理解することができます。

社会福祉士試験に一発合格した筆者が過去問を解説します。

問題と正答【2024年-問6】

精神医療に関する問題です。

問題を解いたあと、答え合わせをしてみましょう。

問題 6 次のうち,精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM- 5)において,発達障害に当たる「神経発達症群 / 神経発達障害群」に分類されるものとして,正しいものを1つ選びなさい。

1 神経性無食欲症

2 統合失調症

3 パニック障害

4 適応障害

5 注意欠如・多動症(ADHD)

解法のポイント

問題文にある「発達障害」に分類されている病気(障害)は、選択肢1~5の中で一つだけです。

発達障害と神経発達症

発達障害と聞くと、自閉症やADHD、LDを連想します。

発達障害は近年注目されているこれらの障害をグループ化したものです。

対して神経発達症も発達障害と同様、あらゆる病気や障害をグループ化(日本語で「群」と表記)しています。

実は、「精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM- 5)」が定義した神経発達症の内訳は、自閉症・ADHD・LDだけではなかったのです。

2000年代の知識で止まっている筆者にとって、まさに「浦島太郎」状態でした。

新しい神経発達症の概念を具体的に示すと次の通りです。

神経発達症
  • 知的能力障害
  • コミュニケーション症
  • 自閉スペクトラム症(ASD)
  • 注意欠如・多動症(ADHD)
  • 限局性学習症(LD)
  • 運動症
  • チック症
  • 他の神経発達症

DSM-5では病気(症)と障害を別のものとして併記しています。

「治る」「治らない」の違いはありますが、内容は同一です。

神経発達症(障害)はすべて脳の器質的障害(脳の構造の違い)による病気または障害と考えられます。

なので、親の育て方が悪くて発症するものではありません。

「生まれつき」の特質と言って良いでしょう。

どのように対策を講じる?

「病名が多くて覚えにくい」という受験生の悩み…

実際に出題されている以上、何らかの対策を講じなければなりません。

試験で得点するにはどのようにすればよいでしょうか?

知っていることを総動員して回答する

社会福祉士試験は難しい試験です。

真新しい用語によく出会います。

慌てずに回答しましょう。

筆者は古い知識を総動員し、次のステップで問題6に取り掛かりました。

問題6 解き方のステップ

1.問題文「発達障害」に注目 

→ あの発達障害に関する問題だな(古い知識のまま…)

2.神経発達症 

→ って何だ?よく分からないが先へ進もう

3.「1.神経無食欲症」 

→ 聞いたことがないからパス

4.「2.統合失調症」「3.パニック障害」「4.適応障害」 

→ あり得そう…保留

5.「5.注意欠如・多動症(ADHD)」 

→ 発達障害だ!間違いない!これに決まり

→ 5を選択

読み進めていくうちに、最も確からしい選択肢に巡り合ったから選んだという感覚です。

普段よく使う「消去法」ですが、今回に限っては消去法ではありませんでした。

わずかな知識でも正答を選ぶことができます。

発達障害=ADHDという知識がなければ解けませんが、

知識は問題演習を繰り返し経験するうえで養われる力です。

もちろん、筆者の解き方が100%正しいとは思いません。

むしろ、邪道な解き方です(笑)

知識のある方にとって、もっと楽に解ける問題かもしれません。

試験のその日までに獲得した知識、これらを総動員して回答する…ある意味、粘り強さが求められます。

暗記をお勧めしない理由

社会福祉士試験は幅広いジャンルから出題されます。

中には専門用語が頻出して、圧倒されることもあります。

専門用語を一つ一つ覚える方法もありますが、

筆者は暗記をお勧めしません。

なぜなら、暗記は忘れやすいからです。

知識として定着しにくいという弱点があります。

オススメする学習法はコレです。

知っていることを芯にして、新しいことを調べて知識として身に着けます。

それを雪だるまのように、段々と大きくします。

雪だるまの中心は固く、大きくなればなるほど崩れにくくなります。

雪は過去問からかき集めます。

知らない用語が出るたびにちょっと寄り道して調べます。

(例えば、神経性無食欲症とは何か?適応障害はDSM- 5で何に分類されるか?)

でも、そのあとまた過去問へ戻ります。

こんな学習をお勧めします。

やり方は人それぞれですが、多くの方に当てはまる学習法です。

さっそく問題6でお試しください。

次章では各選択肢を解説します。

解説

改めて先ほどの問題を解いてみましょう。

各選択肢に簡単な解説を付け加えています。

問題 6 次のうち,精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM- 5)において,発達障害に当たる「神経発達症群 / 神経発達障害群」に分類されるものとして,正しいものを1つ選びなさい。

1 神経性無食欲症

× 誤り

神経性無食欲症は「食行動障害および摂食障害群」に分類されます。

過食症と同類です。

2 統合失調症

× 誤り

統合失調症は、「統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群」に分類されます。

3 パニック障害

× 誤り

パニック障害は「不安症群/不安障害群」に分類されます。

4 適応障害

× 誤り

適応障害は、「心的外傷およびストレス因関連障害群」に分類されます。

心的外傷後ストレス障害も同類です。

5 注意欠如・多動症(ADHD)

〇 正しい

ASDやLDも同類です。

正答 5

どの病気(障害)がどの群に分類されるのか?は重要ではありません。

例えば、ADHDがASDやLDの仲間であるといった具合に、

同じグループに属する病名(障害名)を理解することが大切です。

まとめ

発達障害と神経発達症をDSM-5の分類に当てはめて学習しました。

神経発達症
  • 知的能力障害
  • コミュニケーション症
  • 自閉スペクトラム症(ASD)
  • 注意欠如・多動症(ADHD)
  • 限局性学習症(LD)
  • 運動症
  • チック症
  • 他の神経発達症

専門用語が続出しますが、暗記はお勧めしません。

雪だるまを転がすように、小さな塊から徐々に雪を付け足します。

過去問を通じて雪だるまを大きくしていく要領で、知識を増やしていきましょう。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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