自分以外に原因を求める外的原因~ワイナーの原因帰属理論~【社会福祉士試験2024年-問11】

自分以外に原因を求める外的原因~ワイナーの原因帰属理論~【社会福祉士試験2024年-問11】 社会福祉士試験

職場になじめない……

自分に原因がある場合と、周囲の人や環境に原因がある場合と…

仕事になじめないときは、どう考えればいいんだろう?

ところで、ワイナーの原因帰属理論って何?

ワイナーの原因帰属理論は、「統制の位置」と「安定性」という尺度を使って動機づけが高いか・低いかを推し測ります。

その内容は、下記の表に集約されています。

        

つまり、ある事実や結果に対して「何(人・物・事実)のせいにするか」を理論にしたものです。

原因の突き止め方・捉え方を分析したものと言えます。

嫌なことがあっても考え方を変えることで、ストレスを避けることができるかもしれません。

また、社会福祉士の国家試験対策として活用できる内容です。

どうか最後までご覧ください。

問題と正答【2024年-問11】

第36回社会福祉士試験でワイナーの原因帰属理論に関する問題が出題されました。

まずは、問題にチャレンジしてみましょう。

問題の直後に、正答及び解法のポイントを掲載しています。

問題 11 職場でうまく適応できない原因に関する相談者の次の発言のうち,ワイナー(Weiner, B.)による原因帰属の理論に基づき,安定し,かつ外的な原因による例として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 自分の能力不足が原因だと思います。

2 最近の体調不良が原因です。

3 業務内容が難しかったことが原因です。

4 たまたま運が悪かったのが原因です。

5 自分の努力不足が原因だと感じています。

3

解法のポイント

問題文の「外的な要因による」を見落とさないように!

自分の内面について述べている選択肢は、全て誤りです。

原因帰属理論とは何か?

そもそも原因帰属理論とは何でしょうか?

本来あいまいな因果関係を特定の原因に帰属させることを「帰属過程」と言い、

帰属過程の理論を総称したものを「帰属理論」と呼びます。

(心理学用語の学習 https://psychologist.x0.com/terms/163.html)

心理学で用いられる言葉です。

ワイナーの他にもハイダーやロッターなど様々な学者がいます。

中でも、ワイナーの研究成果の特徴は「統制の位置」と「安定性」の組み合わせを使って、4通りの動機づけを定義したことです。

簡単に表すと次の表のとおりです。

内部統制とは、「自分」のことです。

外部統制とは、「自分以外」のことです。

(例1)社会福祉士試験に不合格

ワイナーの理論を使ってみましょう。

例えば、社会福祉士試験に合格できなかったケースを想像してください。

(想像したくありませんが…)

不合格の原因をどのように考えるか、上記表を参考に4通り示します。

  • 自分の実力が足りなかったから(能力…内部/安定)
  • 勉強が足りなかったから(努力…内部/不安定)
  • 今年の試験問題が難しかったから(課題の難しさ…外部/安定)
  • 隣の受験生がうるさい物音を立てたせいで、試験に集中できなかったから(運…外部/不安定)

次の試験に向けて、モチベーション(動機づけ)が上がるのはどれでしょう?

ワイナーの理論によると、「努力」「運」です。

「もっと勉強すれば、次は合格できる」と信じるほうがやる気になります。

逆に、「能力」はモチベーション下がります。

「自分には素質がない」と考えれば、やる気喪失です…

逆境に対して、「努力」「運」といった不安定な要素(根拠がない自信)を取り込んだほうが、モチベーションを上げることができると言えます。

(例2)社会福祉士試験に合格

次に、同じ例を用いて、社会福祉士試験に合格した場合を想像してみましょう。

合格した原因をどのように考えれば、幸福感が上がるでしょうか?

ワイナー理論によると、「能力」「努力」「課題の難しさ」です。

試験に合格できたのは「運」が良かったからと考えるよりも、

自分が「頑張ったから難関試験に合格できた!」と考えたほうが、達成感がありますね。

この場合、偶然ではなく必然だった(安定)と考えるほうが、ポジティブになることができます。

最終的に、ワイナーの理論は変更を加えて進化させました。

この記事では取り上げませんが、知りたい方はぜひ調べてみましょう。

深入りしすぎないようにご注意を!

解説

冒頭で解いた問題を再度掲載します。

選択肢ごとに簡単な解説を加えています。

問題 11 職場でうまく適応できない原因に関する相談者の次の発言のうち,ワイナー(Weiner, B.)による原因帰属の理論に基づき,安定し,かつ外的な原因による例として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 自分の能力不足が原因だと思います。

 × 誤り

 能力…安定/内的原因 です。

2 最近の体調不良が原因です。

 × 誤り

 能力…安定/内的原因 もしくは、 努力…不安定/内的原因 です。

  ※ 迷うところですが、少なくとも外的原因ではありません。

3 業務内容が難しかったことが原因です。

 〇 正しい

 課題の難しさ…安定/外的原因 です。

4 たまたま運が悪かったのが原因です。

 × 誤り

 運…不安定/外的原因 です。

5 自分の努力不足が原因だと感じています。

 × 誤り

 努力…不安定/内的原因 です。

正答 3

自分以外(外的)に原因を求めると、3か4に絞られます。

「安定」「不安定」の判断は難しいかもしれません。

「運」が「業務内容」に比べて、目に見えない「不安定」な要素だとイメージできれば正解できます。

まとめ

ワイナーの原因帰属理論の一部について学習しました。

具体的には、次の表に示す4通りに区分されます。

ワイナーの原因帰属理論は、ネガティブな結果に対して、ポジティブに考えるヒントを与えてくれます。

とても客観的にまとめられています。

日常生活のさまざまな場面で役に立つのではないかと思いました。

この記事が、受験生や働く方の参考になれば幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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